ブログ51 川崎市・神奈川県警察、内閣総理大臣、文部科学省等に要望書を提出しました

1 いつも子ども虐待死ゼロを目指す法改正の署名活動にご協力賜っておりますことに厚くお礼申し上げます。

2015年3月25日に、川崎市上村遼太君事件の再発防止を求め、川崎市・神奈川県警察及び内閣総理大臣・文部科学大臣・厚生労働大臣・国家公安委員会委員長に要望書を提出してきました。川崎市に対しては、同市役所で副市長さんと教育長さんに要望書を手渡し、直接お願いするとともに、川崎市記者クラブで記者会見しました。

■川崎市記者クラブで記者会見

※記者会見の掲載記事は上記をクリックすると、ご確認いただけます。

要望書の内容は、これまで申し上げているとおりで、読んでいただきたいですが、要約しますと、

 子どもたちは家庭、学校、地域で虐待やいじめ、不登校、家出、深夜はいかい等様々な被害や問題を抱えており、家庭、学校、地域での細切れの情報を、児相、学校、警察の各機関が抱え込み、連携もせず対応することでは到底子どもたちを守ることはできない。各機関が家庭での虐待等の情報、学校でのいじめや不登校の情報、地域での深夜はいかい、非行少年グループの情報など保護が必要と思われる子どもにかかわる情報を共有した上で、連携して家庭訪問や立直り支援を行うなど実質的に連携した活動を行うよう、国では法改正を、川崎市と神奈川県警察では協定の締結を求める、というものです。
 そして、改正案及び協定案、その細則や基準など実施するために必要な細かい手順まで作成し、提出しております。

[2015.3.25上村遼太君事件再発防止のための法整備を求める国への要望書]


[2015.3.25上村遼太君事件再発防止のための協定締結を求める川崎市・神奈川県警察への

要望書]
※提出資料は上記をクリックすると、PDFにてご確認いただけます。

2 各機関と情報共有と連携しての活動については、誰もが総論賛成なのですが、実際にはほとんど実施されていません。多分、各機関は何をしていいのか分からないというか、面倒がり真面目に検討していないのだと思います。
 そこで、今回、私は実際に共有する情報の範囲や情報提供する時期、具体的な連携の方法について、細部まで書き込んだ案を作成し、関係省庁や川崎市・神奈川県警察に提示しました。
 このとおり実施しろとは言いません。たたき台として検討して、修正すべき点は修正して、現実に情報共有と連携しての活動に踏み出してほしいのです。

 今回、私の作成・提出した案は、高知県の取組みを参考にしています。昨年末に、高知県の尾崎知事とお会いした際、知事が虐待問題に大変熱心に取り組んでおられたことから、私から高知県での児相と警察の連携の在り方について、ヒアリングをして、連携の在り方を検討させていただけないかとお願いしたところ、ご快諾いただきました。そこで、本年の2月と3月に、高知県庁をお訪ねし、まず児童相談所の方のお話を聞いた上、その後警察の幹部の方も同席していただき、現在の情報共有と連携の仕組みについていろいろとお話を伺いました。
 すると、私も知らなかったのですが、高知では、既に何年も前から、児童相談所と高知市の虐待対応部局、警察本部、警察署、教育委員会、保健担当部局などをメンバーとする会議が毎月1回開催され、そこで、対応中の虐待案件について住所・氏名・就学状況・主たる虐待者・虐待種別・ランク区分などが提供されていました。さらに、警察でも、組織的ではないけれども、子どもの安否が懸念される案件については警察職員が児相と連携して家庭訪問をするという取組みも行われているということでした。
 このような取組みを基に作成したのが、今回提出した案です。もちろん高知県に了解をとったわけではありませんが、進んだ取り組みをされている高知県の実情をもとに、こういうやり方で、情報共有と連携しての活動が可能ではないかと考えて作成したものです。

3 国でも、厚生労働省と警察庁の間では協議がされていないようですし、神奈川県警察と川崎市との間でもまだ何の話もなされていないようです。多分、他の都道府県でも同様ではないかと推測いたします。
 是非、私が今回作成・提出した案をたたき台に、情報共有と連携の在り方を検討していただきたいと思います。そして、高知県でやらせていただいたように、私に協議の場の設定と協議をコーディネートさせていただきたいのです。
 私は警察庁や都道府県警察勤務を長年しておりましたから、痛感しておりますが、どこの役所も他機関との連携には腰が重く、なかなかやろうとしません。お互い警戒して、遠慮して、よほどでない限り、協議のテーブルにすらつきません。特に、今回、私どもが提案している、警察が児相と協力して虐待家庭を訪問するという案は、厚労省や児相にとっては、警察に一方的に負担を負わせるものですから、怖くてとても言い出せない、というものだと思います。
 しかし、私どもが法改正案として打ち出し、署名活動までして、官邸に働きかけ副大臣会議まで設置されたのですから、厚労省は警察庁にお願いに行くべきでした。怖くて言い出せなかったことをよくぞ言ってくれたとして、喜んで警察庁に要望に行ってくれるものと思っていました。しかし、厚労省は警察庁に打診もしていないようなのには正直驚き、あきれ、虐待されている子どもを守る気があるのかと憤っているのは、本メルマガを読んでいただいている方はよくご承知のとおりです。

4 国でも、どこの都道府県でも結構ですから、是非、私をコーディネーターとして、情報共有と連携の在り方について、検討を進めていただきたいと思います。私は警察庁勤務時、ストーカー規制法を立案し、警察がストーカー問題に積極的に取り組むよう内部を説得し、大阪府警察本部生活安全部長在勤時には少年非行防止・立直り支援対策に取り組み、この問題について警察で対応可能なことと不可能なことは認識しているつもりです。警察に言い出しにくいことも、警察で対応可能なことであれば、私から警察に申し入れることはできます。
 警察が新たな負担を背負うことになり、それを懸念されることはもっともです。しかし、子ども虐待問題は、もはや、児相に任せることができるものでないことは明らかで、不登校事案についても上村君事件のようなものは学校だけでは対応不可能です。警察が対応可能な範囲で乗り出すしか子どもを守ることはできません。負担増になりますが、トップはもとより心ある警察官・警察職員はこの問題に心を痛めており、きっと納得して応じてくれるものと確信しています。
 一方、ことここに至っても、案件を抱えこむだけで、警察に情報提供もせず、連携しての活動も要望しないのであれば、厚労省・文部科学省や都道府県の児相・教育委員会は、子どもを見殺しにするものとしかいいようがありません。まさに国家的ネグレクトです。

 今回、私が提出した、情報共有と連携しての活動のための法改正案及び協定案、その細則や基準など実施するために必要な細かい手順を是非参考にしていただいて、国では厚労省・文科省と警察庁、そして官邸のリーダーシップで法改正に着手し、都道府県では、児相・教育委員会と警察本部の間で、法整備がなされるまでの間、協定を締結し、情報共有と連携しての活動を実施していただきたいと強く要望いたします。そして、繰り返しますが、協議の場の設定と協議のコーディネートを是非させていただければと存じます。