ブログ57 犯罪被害者への経済的補償、被虐待児を含む被害者へのカウンセリングの無償実施制度について

いつも「子ども虐待死ゼロを目指す法改正」を求める署名活動にご協力賜り誠にありがとうございます。

 私どもの求める「子ども虐待死ゼロを目指す法改正」の5項目めとして、「虐待を受けた子どもに対する精神的な治療、カウンセリングの無償実施」を挙げていますが、この問題につきましては、犯罪被害者への支援という切り口からも政治・行政に働きかけているところです。

1 犯罪被害者への経済的補償については、私が幹事をしているあすの会から政府に対して様々な要望を提出していましたが、内閣府の検討会では全く採用されませんでした。一方、自民党では、この問題に関して犯罪被害者支援PTが設置され(座長:鳩山邦夫議員、事務局長:小林鷹之議員)、5月19日第一回目のPTが開催され、あすの会の意見を聴いていただきました。当日、犯罪被害者や家族の方に出席して意見を述べていただくとともに、私から、現行の犯罪被害者等給付金支給法(犯給法)の制度の問題について、あすの会の意見を述べてきました。 提出した資料は次のとおりです。

「現行犯給法の問題点―自民党PT提出資料」

※提出資料は上記をクリックすると、PDFにてご確認いただけます。

 犯罪により傷を負った被害者に支給される重傷病給付金には期間1年、上限120万円という制限があり、重い傷を負った人ほど救われません。殺害された被害者の遺族に支給される遺族給付金は若い被害者ほど低額で遺児がいる場合はたちまち困窮に陥るなど算定方法が自賠責に比べ被害者の困窮を救うものとなっていません。また、親族間の犯罪というだけで給付金額が原則不支給・減額とされるなど、救うべき被害者を救うものとなっていません。
 
 また、虐待や性犯罪を受けた子どもや女性の心のケアは全く不十分で、PTSDに対するカウンセリングに要する経費はごく一部を除いて重傷病給付金の対象とされていません。
 
 このように現行制度は非常に大きな問題があるにも関わらず、前記のとおり、内閣府の検討会ではまともに取り上げられませんでした。一方、自民党のPTに出席していただいた先生方はいずれも大変積極的でした。役所の対応には大いに失望しましたが、自民党には大変期待しております。犯罪被害者である被虐待児に必要な精神的治療・カウンセリングが無償で受けることができるような制度についても整備されるよう要望していくつもりです。
 子ども虐待問題同様こちらも役所が消極で、解決に向けては政治に求めていくしかない現状です。役人OBとしては、なんでというか、怒りというか、情けないというか、このままでは、役所は益々信頼をなくし、地盤沈下していくのではないかと複雑な心境です。

2 さらに、5月26日、内閣府の犯罪被害者基本計画策定推進専門委員等会議にあすの会の方の委員の随行として出席してきました。この会議は現行の第2次犯罪被害者基本計画の見直しを行う会議です。
 昨年私から、児童ポルノの被写体とされた子どもを含む被虐待児に専門的な治療、カウンセリングを無償で実施する制度の整備を求める意見書を提出していましたが、内閣府の整理ではA(論点として取り上げるもの)と整理されています。同じく警察による被害児童への専門的医師の紹介、児童相談所に配置する専門的な医師の増員措置についてはB(担当省庁において検討し担当省庁から計画案文の提出を求めるもの)とされています。
 これらは昨年成立した児童ポルノ禁止法の改正により今まで以上に関係機関に求められているものですが、犯罪被害者第3次基本計画に盛り込まれることにより制度が確実に実現するよう努めていく所存です。