ブログ58 東京都知事と東京都公安委員会委員長への要望書の提出

いつも「子ども虐待死ゼロを目指す法改正」を求める署名活動にご協力賜り誠にありがとうございます。

 本日(2015年6月4日)、舛添要一東京都知事と仁田陸郎東京都公安委員会委員長あてに、わたくしどもシンクキッズと全国犯罪被害者の会(あすの会)の連名で、「児童相談所と警察の情報共有と連携しての活動を求める緊急要望書」を提出し、都庁記者クラブで会見してきました。要望書は次のとおりです。是非ご一読ください。

「児童相談所と警察の情報共有と連携しての活動を求める緊急要望書」

※要望書は上記をクリックすると、PDFにてご確認いただけます。

1東京都内では、本年4月足立区で当時3歳の男児が両親からウサギ用ケージに閉じ込められ、虐待死させられる事件が発覚し、昨年7月には当時中学2年生の男子生徒が継父から酷い暴力を受け続け、自殺を強要され自殺するという事件が、昨年1月には葛飾区で当時2歳の女児が父親からあざが40ケ所も残るような暴行を受け虐待死させられるという事件が発生しています。
 これらのうち、足立区と葛飾区の事件は、いずれも児童相談所が案件を把握しながら虐待死を防ぐことができなかった事件ですが、警察と情報共有し連携して活動していれば、子どもを救うことができた事件です。西東京市の事件は、学校が抱え込んで児相にすら通告しなかった事件ですが、無茶苦茶暴力的な継父ですので、仮に児相に通告されたとしても、児相が単独で家庭訪問して継父に虐待を止めさせることができたか疑問のあるところです。

 そこで、児童相談所は案件を抱え込むのではなく、アメリカやイギリスのように警察等の関係機関と情報共有した上、連携して危険度に応じて適切な頻度で家庭訪問し、子どもの安否確認と親への指導・支援を行うことにより、虐待死・虐待のエスカレートの防止を図っていくことが必要と考えます。
上記から、児童相談所と警察に直ちに求められる対応は次のとおりです。

1児童相談所は把握しているすべての虐待案件を警察に通報する。警察は従来通り把握した虐待案件はすべて児童相談所に通報する。―虐待情報の共有

2警察は、既に実施しているストーカー110番通報登録制度と同様、虐待案件に係る情報を本部通信指令室のデータベース及び虐待家庭の所在地を管轄する警察署において登録し、虐待家庭に係る110番通報その他の通報がなされた場合に、現場で対応する警察官が虐待家庭であることを念頭に子どもの安否確認・保護を含め適切に対応できるよう措置する。―葛飾区の事件の再発を防ぐ

3児童相談所と警察は、連携して事案の危険度に応じて適切な頻度で家庭訪問し、常に情報を共有しつつ、子どもの安否確認と親への指導・支援を行うことにより、虐待の継続・エスカレートを防ぐ。―足立区の事件の再発を防ぐ

 上記の対応を実施していれば、葛飾区、足立区の事件で子どもの命は救うことができたはずです。子ども虐待は一つの機関だけで対応できるものではありません。案件を抱え込むことは大変危険です。
 本日は、東京都保健福祉局の家庭支援課長さんと面会し、速やかに警視庁と協議を開始し、上記の情報共有と連携しての活動をしていただくよう、強くお願いしてきました。

2 私どもの法改正の要望に対して、国の動きがない状況ですので、都道府県に対して働きかけをしております。3月には、川崎市上村遼太君殺害事件を受け、川崎市・神奈川県警察に要望書を提出し、4月には、名古屋市と愛知県警察本部に対して、児相と警察の間での情報共有と連携しての活動をするため両機関で協議をしていただくようお願いしております。川崎市は、学校の非行情報を警察と共有するため協定を締結する方針と報じられています。

 ご承知のとおり、地方自治体の知事・市長は、いわゆる大統領型で非常に強い権限をお持ちですので、トップがその気になれば、このようなことはすぐに実現できるのではと期待しています。
 是非、直ちに東京都と警視庁で協議をしていただき、協定を締結するなどして情報共有と連携しての活動を速やかに実施していただくことを強く希望するものです。東京都で実現すれば、全国に波及することも期待できます。私どもは、引き続き両機関の取組を注視し、適宜働きかけていく所存です。