ブログ70 埼玉県狭山市で警察と市が把握していながら虐待死を防げなかった事件が起こりました

 本年1月、埼玉県狭山市で3歳の羽月ちゃんが、母親と同居男性からやけどを負わされ、殺害された事件では、前年の6月、7月と2回にわたり、住民から「子ども泣き声が30分以上する」「外に出されている」などの110番通報を受け(1月13日JNNネット配信記事その他)、警察官が家庭に行ったが傷はなく、虐待は確認できなかったとして、児相に通告せず、その後家庭訪問し、安否を確認することもなく、また、狭山市は羽月ちゃんと1歳上の姉が乳幼児健診を受けていなかったため、2013年4月から2015年7月にかけ職員が3回も訪問していたが、虐待の兆候はなかったとし、何らの対応も取りませんでした。

http://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20160112/4981201.html

 乳幼児健診未受診は虐待が懸念される重要なサインですし、近隣住民からの二度もの通報も同様です。しかも、外に出されている、30分以上泣いている、というのは尋常ではなく、傷が見当たらなかったとしてもネグレクトが強く懸念される事案です。狭山市の「虐待を疑うサインはなかった」との上記ニュースで報じられているコメントも、乳幼児健診未受診が虐待リスクであることが念頭にないものです。
 これらの虐待の兆候をなぜ生かされなかったのか、警察や市がどういう対応方針であったのか、今後の詳しい検証が必要ですが、今回の事案は、警察は乳幼児健診未受診という事実を知らず、狭山市は110番通報が二度もなされた、という事実を知りませんでした。全く情報共有されていないのです。さすがに、この二つの事実が合わされば、虐待リスク大として、必要な対応ができたはずです。要するに、全く、これらの機関で情報共有し、連携して対応していないのです。私どもの求める、「児童相談所、市町村、警察との情報共有と連携しての頻繁な家庭訪問による子どもの安否確認と親への指導支援」が実現していれば、羽月ちゃんがかくも残忍に殺されることが防ぐことができました。
 傷があろうがなかろうが、虐待の兆候があれば(まずはその認識を持つよう組織のレベルを上げることが必要ですが)、関係機関で情報共有し、危険度に応じてできる限り頻繁に家庭訪問し、子どもの安否確認と親への指導支援を行う。これしか、子どもの命を守るすべはないのです。それには、私どもの求める「児童相談所、市町村、警察との情報共有と連携しての頻繁な家庭訪問による子どもの安否確認と親への指導支援」を内容とする法改正が必要です。厚労省と警察庁は羽月ちゃんの命を無にすることなく、法改正を受け入れていただくことを強く求めます。
 また、それが実現するまでの間は、都道府県レベルで、児相、市町村、警察との間での情報共有と連携しての対応が必要です。埼玉県の上田知事は問題意識をお持ちのようです。埼玉県・埼玉県警察に強く働きかけていく所存です。