ブログ75 相模原市児相SOS無視・男子生徒自殺事件を踏まえ

1 いつも「子ども虐待死ゼロを目指す法改正を求める署名運動」にご理解賜っておりますことに厚く御礼申し上げます。

 前ブログで述べた、相模原市児相SOS無視・男子生徒自殺事件は、児相、警察の現在の取組のみならず、制度の問題を露わにしました。
 児相の問題点は前投稿で述べたとおり、
①男子生徒から助けを求められながら助けない、一時保護しない対応
②両親が指導を拒否したら、それっきり家庭訪問もせずほったらかしにした対応
③学校からの虐待の連絡を無視した対応
いずれも、あり得ない対応ですが、これまでも繰り返し起こっており、児相の親への過剰な配慮体質、事なかれ体質、他機関排除体質など長年にわたり身についた習性に基づくものであり、私どもの求める「子ども虐待死ゼロを目指す法改正」を実現しない限り、変わるはずもありません。このままではいつまでも同様の事件が繰り返されるだけです。

 現時点での報道による限り、今回の事件では警察の対応にも極めて大きな問題があります。児相からは警察に対して情報提供はなされなかったでしょうが、男子生徒は家から逃げ出しコンビニに助けを求め、警察に保護されているのです。こんな案件はそんなにあるものではありません。警察は、この男子生徒を守るために一体どういう取組をしたのでしょうか。
 私は大阪府警察本部の生活安全部長をしていましたが、当時こんな案件の報告を受けた場合には、この男子生徒を守るため、児相と連携して頻繁に家庭訪問し、親に指導・説得し、虐待をやめさせる、男子生徒に対しては「何かあったらいつでも警察にきて。全力で君を守るから」などと励ます、という対応をするように管轄警察署に指示したと思います。ほったらかしにするなどありえない対応です。児相はともかく、警察も助けてくれなかったという絶望を男子生徒に与えてしまったのではないでしょうか。神奈川県警察はもう少しちゃんとした対応をしたことを期待しておりますが、本件の対応について警察も検証しなければなりません。

 神奈川県警察は、厚木市理玖ちゃん餓死事件でも、当初理玖ちゃんを保護しながら、児相に通告後は児相に対応を丸投げしていました。丸投げされた児相も家庭訪問も何もせずほったらかしにしたため、理玖ちゃんは餓死させられてしまいました。横浜市あいりちゃん事件では、警察は110番通報を受け、児相に虐待通告した後は児相に対応を丸投げで、その直後あいりちゃんは殺害されてしまいました。殺害されていたことが分からなかった間に、横浜市児相は警察署にあいりちゃんの捜索をお願いしましたが、警察署は門前払いしています。さらに、今回の事件です。神奈川県警察は、これらの事件への対応を検証し、子どもを守るために今までの取組を全面的に改善してほしいと思います。他の都道府県警察も同様のところも少なくないと思いますので、他人事と思わず、同様の見直しをしていただくよう望みます。

2 「保育園落ちた 日本死ね」のブログをきっかけに、署名が28,000名分集まり、ママさんらが塩川厚労大臣に直ちに面会することができ、直接要望し、政府が「待機児童ゼロ」を目指すとこととされたと報じられています。
 政府が「待機児童ゼロ」を目指すこと自体は結構なことですが、国の統計上毎年100名もの子どもが虐待死させられている現状からして、署名を35,000名集め、子どもが殺害されることを防止する「子ども虐待死ゼロ」の方が政府としてより早急に実現を目指すべきことではないでしょうか(日本小児科学会の推計では統計の3倍以上虐待死させられていると可能性があるされています。3月21日朝日新聞)。
 政府は昨年から「介護離職ゼロ」を打ち出し、この度「待機児童ゼロ」を打ち出し、膨大な予算を投入するとされています。それ自体結構なことですが、なぜ、「子ども虐待死ゼロ」を目指さないのか一向にわかりません。
 私どもの求める法改正案を実施するには予算もほとんどかかりませんし、「児童相談所と警察の情報共有と連携しての活動」に至っては予算はほとんどゼロで、虐待死・虐待の抑止に大変な効果があるのです。1年半近く署名運動をし、総理大臣、厚労大臣、国家公安委員長あてに二度も署名と要望書を提出し、厚労省と警察庁の幹部の方に直接会い、あるいは手紙で何度も要望しながら、一向に取り上げられないのは、何か巨大な利権でもあるのか、私はとんでもないことをしようとしているのか、時々分からなくなります。

 厚労省は、今国会に児童虐待防止法・児童福祉法の改正案を国会に提出する予定ですが、今のところ私どもの求める「子ども虐待死ゼロを目指す法改正」案は含まれておりません。
このブログでも何度も何度も説明していますが、児童相談所が知りながら子どもが虐待死させられた事例が毎年毎年いやというほど繰り返され、その主たる原因が、児相が案件を抱え込み警察等に情報提供せず、かといって自分で家庭訪問も十分にはせず、ほったらかしにしていることであることは明らかです。それを解消するためには、児相と警察との情報共有と連携しての活動が、最低限必要で、かなりの効果が期待され、それができない理由が全くありません。高知県ではすでに実施されていますし、日本の児相の20~30倍の態勢のあるイギリスやアメリカでも児童保護部局は警察と全件情報共有して連携して対応しているのです。
 厚労省と警察庁には、是非私どもの法改正案を受け入れていただくようお願いいたします。