ブログ87 JKビジネス、AV出演強要問題、着エロ問題について加藤大臣に要望しました

 本年3月21日、政府は、JKビジネス、AV出演強要問題について関係省庁対策会議の第一回会合を開きました。対策会議の議長は加藤勝信1億総活躍担当大臣です。
 私どもは、下記の通り、2015年10月21日に、11団体連名で、厚生労働大臣、国家公安委員会委員長、1億総活躍担当大臣あて「子どもを性の対象とすることを容認しない法改正を求める要望書」を提出しておりましたところ、本対策会議が開催されたことを受け、本年4月4日に加藤大臣に他の団体の方とともに面会し、対策をお取りいただくよう要望してまいりました。加藤大臣には大変熱心にお聞きいただき、感謝しております。大臣にお渡しした資料は次のとおりです。

「JKビジネス・AVビデオ出演強要・着エロ問題について」

「子どもを性の対象とすることを容認しない法改正を求める要望書」

「女性に対する性的搾取の防止に関する法律案要綱」

 政府の対策会議では、JKビジネスとAV出演強要問題しか議題として取り上げられていませんが、「着エロ」問題は、AV出演強要問題に関連するより深刻な問題です。「着エロ」と呼ばれる幼稚園あるいは小学校低学年の子どもの半裸や水着姿の写真集やDVDが公然と販売され、これらの子どもたちに「握手会」「撮影会」と称して多くの男性たちが群がるという異様な事態が生じている実態にありますが、これらの多くは、業者の誘いを受けた親が、年端もいかない子どもを無理やりに、あるいは、子どもが親を喜ばせようとして抵抗せずに、行われている実態にあります。このような「着エロ」の被害者である子どもは、一応拒絶の意思を表明し、助けを求めうる大人のAV出演者に比し、諾否の意思表明すらできず助けを求めることもできず、より保護・救済が必要です。実際、AV出演強要の被害者からは、警察やNPOに相談がなされていますが(全国の警察には2014年から2016年には計25件、ライトハウスとPAPSには2016年に100件の相談)着エロの被害者である子どもは誰一人相談も助けを求めることもできないのです。大人が被害者であるAV出演強要問題に取り組むのであれば、助けを求めることすらできない子どもが被害者である「着エロ」問題により力を入れて取り組まなければならないはずです。
 要望書に記載していますが、私どもは、次のような法改正を求めています。

1. 児童福祉法34条を改正し、次の事項を禁止行為として追加する(最低限他の多くの条項と同様懲役3年以下の罰則とする)。

○満15歳に満たない児童の半裸あるいは水着その他これに類する衣服を着用した姿を被写体とした写真、映像を撮影し、あるいは販売、頒布する行為及びこのような行為をさせ、又は勧誘する行為

○児童を名目の如何を問わず撮影、接客、散歩、マッサージ、添い寝、会話その他の性的好奇心に応じたものと認められるサービスを提供する業務に従事させ、又は勧誘する行為

2. 児童虐待防止法2条2項(性的虐待の定義)に次の事項を追加する。

○児童に名目のいかんを問わず撮影、接客、散歩、マッサージ、添い寝、会話その他の性的好奇心に応じたものと認められる業務に従事させること/p>

 誰も反対するはずのない改正案です。これらの行為は「児童虐待」であることを念頭に対策を講じる必要があります。警察が条例でJKビジネス対策を講じようとすることには敬意を表しますが、そもそもは「着エロ」「JKビジネス」は、子どもに対する性的搾取であり、親の関与がある場合には児童虐待なのですから、厚生労働省が児童福祉の観点から児童福祉法で禁止することが筋です。条例は営業規制であり、地域的制限があり、罰則も軽く、効果があまり期待できません。そもそも児童福祉法34条は、子どもに対する搾取行為を禁止しており、「児童にこじきをさせる行為」(2号)、15歳未満の子どもに「かるわざ、曲馬をさせる行為」(3号)や「道路等で歌謡、遊芸その他の演技をさせる行為」(4号)を禁止しています。これらは昭和初期によく見られた子どもの搾取行為を政府・国会が禁じたものですが、今の時代には、子どもの搾取行為が、「着エロ」やJKビジネスに代わっているのであり、時代の変化に応じ現出している子どもの搾取行為を児童福祉法34条に追加して禁止することが政府・国会に求められているのです。
 厚労省に本要望書を提出し、1年半になりますが、全く改正しようという動きはありません。本対策会議で是非前向きに検討していただきたいと思いますが、児童福祉法は厚労省の所管ですので、厚労省が責任省庁となります。これを機に、厚労省には是非法改正に取り組んでもらいたいと思います。
 AV出演強要問題については、「女性に対する性的搾取の防止に関する法律案要綱」のとおり、女性に対する性的搾取全般の問題として取り組んでいただきたいと思います。いずれにせよ、法改正、新規立法しなければ全く解決しない問題であることを念頭に政府、国会には取り組んでいただくことを強く望むものです。