ブログ90 うれしいニュース! 全国の2割の児童相談所は警察との全件情報共有に賛成か

 平成29年5月31日、衆議院厚生労働委員会で民進党の井坂信彦議員は、再度、児童相談所と警察等関係機関で全件情報共有をすべきでないのか、と塩崎厚労大臣に質問されました。これに対し、塩崎大臣は、「方向としてはできる限りの共有はしないといけない」と答弁されました。質疑は下記のとおりです。是非ご覧ください。

「2017年5月31日井坂信彦議員質疑」

塩崎大臣は、

「方向としてはできる限りの共有はしないといけないというふうに思っていますし、先ほど申し上げたとおり、共有の仕方がばらばらであるがゆえにきちっとした対応ができずに不幸な結果がもたらされているというケースが、大体、不幸な結果になっているケースはどこかでリンクが切れているというのが私は原因になっていることが多いんだろうというふうに思います」

と答弁されましたが、わたしが驚いたのは、この後、

「八割の児童相談所の方々が、持っている情報について、必ずしも全件共有について賛成をしていない」

と答弁された部分です。ということは、児童相談所の2割が警察との全件情報共有について反対していないということでしょうか。私はこれまで、東京都、川崎市、名古屋市、愛知県、三重県、神戸市、大阪府、大阪市、堺市、埼玉県の知事・市長さんにお会いし、または要望書を提出するなどして働きかけていますが、一部の情報共有はともかく、全件情報共有は拒否されています。東京都の家庭支援課長さんに至っては、私から足立区ウサギ用ケージ監禁虐待死事件や葛飾区1歳児虐待死事件など児童相談所が警察に情報提供していれば確実に虐待死を防ぐことが出来た事例の再発防止のためには、警察との情報共有が必要でないですかと直接面談して訴えても、「法改正されない限りしない」旨断言される始末です。小池知事の了承を得てこう言っているのかは不明ですが、私がお願いした自治体はすべてこういう姿勢ですので、既に全件情報共有している高知県・高知市と明石市を除いては前向きな自治体はないのかなと思っていましたが、私がまだめぐり合っていない自治体の児童相談所の中には、警察との情報共有に前向きなところがあるのかとうれしくなりました。
 是非そこに会いに行って、情報共有を実現してもらうようにお願いに行きたいですね。開示しないという前提での調査であるということで厚労省には教えてもらえませんでしたが、前向きの自治体については問題ないと思いますので、厚労省には再度お教えいただくようお願いしてみます。

 ところで「行政が歪められた」との主張が元役人の方から出されていますが、これは行政がまともであることが前提です。子ども虐待問題については、行政がこうだから、情報共有すら拒否し連携もしないという行政のていたらくだから、一向に解決の兆しもないのだと私は確信しています。この3年間、署名活動を行い、要望書を国や多くの都道府県に提出し、記者会見するなど厚労省の役人や自治体の児童相談所の役人にいくら要望しても無視されてきた私にとって、というよりも、虐待を受け続けている子どもたちにとって、今の行政がまともだとは到底思えません。政治のリーダーシップに期待するしかないのです。
 塩崎大臣には「できる限りの共有はしないといけない」と言っていただいており、あと一歩です。役人の抵抗を排してここまで言っていただいたのだと思います。引き続き、塩崎大臣をはじめ政治家の皆さんにお願いして働きかけてまいります。役人は、縦割りで、今までのやり方を変えたくない、面倒なことはしたくない、というのが本音なのです。元役人の私が言うのだから間違いありません。役人に3年間お願いし続けてこれなのです。 
 5月19日に私から情報共有を要望した埼玉県では、昨日6月15日に警察と協定を締結し県の児童相談所から警察に情報提供されることになりましたが、やはり一部に限られています。狭山市羽月ちゃん事件という極めて痛ましい事件が昨年起こってもこれなのです。やはり、法律で情報共有を規定するしかなく、そのためには政治のリーダーシップに期待するしかない、何もしない行政をまともな方向に「歪める」しかないのです。