ブログ95 児童虐待の情報共有協定は増えていますが、内容は極めて不十分

 いつも「子ども虐待死ゼロを目指す法改正」の実現に向けた活動にご理解ご支援賜り誠にありがとうございます。

1 本年(2017年)9月6日産経新聞に、児童相談所と警察の間の児童虐待の情報共有の協定が24都道府県にと報じられました。

https://www.sankei.com/affairs/news/170906/afr1709060006-n1.html

一見取組が進んだようにも見えますが、本記事でも的確にご指摘いただき、私のコメントを詳しく掲載していただいているように、その協定の内容は子どもを守るには極めて不十分なものです。全件情報共有しているのは高知県のみで、私どもからの要望を受け、平成28年10月に東京都が警視庁と結んだ協定では、児童相談所は一時保護解除事案しか警察に情報提供しない(全案件の5%程度)など甚だ不十分なものとなっています。他の都道府県の協定も児童相談所から警察への情報提供は、「事件化の必要があると判断されるもの」「その他児童相談所が必要と判断されるもの」などに限定されているものが多く、ごく一部のみの提供にとどまっています。
 一つの機関で子どもを虐待から守ることなどできるわけもなく、関係機関が情報共有の上連携して活動し、持てる最大限の能力を発揮することが絶対に必要です。言い換えると「関係する機関が連携してベストを尽くすシステム」により子どもを守らなければなりません。しかし、現在のシステムはベストを尽くすどころか、排他的な体質の児童相談所が案件を抱え込み縦割りのまま警察等他機関と情報共有すら拒み、子どもを救おうとしない、その結果過去10年で児童相談所が知りながら虐待死に至る事件が150件に上るという結果をもたらしているのです。
 特に、東京都の取組はありえないものです。東京都では足立区ウサギ用ケージ監禁虐待死事件、葛飾区あいらちゃん虐待死事件など、児童相談所が知りながら警察と情報共有せず、自ら家庭訪問も子どもの安否確認も十分にしないまま、虐待死に至らしめた事件が続きました。私どもはこの2つの事件を受け東京都と警視庁に要望書を提出し、記者会見しました。

https://www.thinkkids.jp/wp/wp-content/uploads/2016/11/siryou6.pdf

 2つの事件とも児童相談所が案件を抱え込まず警察と情報共有し連携して活動していれば、子どもたちはかくも残虐に殺されることはなかったからです。まさか東京都の児童相談所がこれを拒否するなんて考えもしませんでした。ところが、東京都はこのような自らの排他的な体質が招いた防げるはずの虐待死事件が起こっても、私どもの要望を拒否しました。協定ではこれらの事件と同様のケースでは児童相談所は警察に情報提供しないこととされてしまい、わずかに一時保護解除事案のみ情報提供するという、再発防止にならない、役に立たない協定でお茶を濁してしまったのです。本年2月、私は東京都の担当課長と面談しその旨指摘し、これでは同様の事件が防げないので情報共有の範囲を拡大するよう要請しましたが、拒否されました。合理的な説明は全くありません。東京都には引き続き警察等関係機関と情報共有して連携して子どもを守る取組を行うよう働きかけてまいります。

2 何度もお話ししているとおり、警察は自らに寄せられたすべての虐待案件を児童相談所に提供していますが、児童相談所は高知県を除きごく一部しか警察に情報提供せず、厚労省の役人も児童相談所のその判断を是としています。
 国会は「漏れなく確実に情報共有するよう」検討を政府に求める附帯決議をし、塩崎厚労大臣は「方向としてはできる限りの共有はしないといけない」と答弁されているのですが、厚労省と児童相談所の役人が抵抗し、いままでどおりのやり方に固執し、児童相談所が関与しながら子どもを救えない事件があいかわらず続いているのです。役人に任せていては救えるはずの子どもの命を救うことができないのです。

3 アメリカやイギリスでは、児童保護部局は警察と全件情報共有し、原則共同調査です。子どもを守ることができる機関が情報共有の上、連携して子どもを守ることが大原則、当たり前で、そのような関係する機関が連携してベストを尽くすシステムを整備しないことは、それだけで役所、政治の義務懈怠です。そのようなシステムを整備しても、子どもを守ることができないケースはあると思います。でも、関係機関が情報共有の上連携して活動する等ベストを尽くしながら子どもを守れなかったのか、ベストを尽くそうとせず、縦割りのまま関係機関と情報共有すらせず子どもを見殺しにしたのか、では全然違います。日本はいつまでたっても後者なのです。児童相談所は人手不足だから・・・などと言う方もいますが、人手不足だからこそより一層関係機関と情報共有し連携しなければならないはずです。我々がそのような役所や役人の言い分に理解を示し、排他的な取組のままにしておくことは、子どもたちに対する背信行為です。

 高知県のほか、平成31年に児童相談所の設置を目指す明石市では、既に警察との全件情報共有を実施していますし、姫路市も同様です。いつまでも変わろうとしない児童相談所に代わり、ベストを尽くすシステムとするべく努力している自治体も出てきています。そもそも、児童相談所への通報件数より市町村への通報件数の方が多く、都道府県の児童相談所より住民と多くの分野で関わる市町村が児童虐待業務を担うことがよりふさわしいことから、今後、より市町村の権限と人員を強化し、市町村を中心に関係機関が連携し、子どもを守ることができるシステムとすることが必要と考えます。
いずれにせよ子ども虐待死ゼロを目指して、子どもを虐待から守るためにベストを尽くすシステムを整備するよう国、自治体に対して粘り強く働きかけてまいります。