ブログ101 大阪府、箕面市、寝屋川市等への要望書の提出と児童相談所所長さんとの意見交換

 本年(平成30年)1月12日、大阪府知事、大阪市長、堺市長、箕面市長、寝屋川市長あてに、「児童相談所、市町村と警察との全件情報共有と連携しての活動を求める再度の緊急要望書」を提出し、記者会見しました。

1 平成29年12月、大阪府箕面市で4歳児の歩夢ちゃんが母親と同居の男2人から暴行を受け殺害されるという事案が発生しました。前メール記載のとおり、本件については大阪府の児童相談所と箕面市が把握し家庭訪問する等していたものの、警察とは情報共有がなされていなかったと報じられております。私どもが一昨年11月に提出した要望書を大阪府が受け入れ、児童相談所、市町村と警察が情報共有の上連携して活動していれば、歩夢ちゃんはかくも残酷に殺害されることは十分防げたと考えられます。1年以上経過しながら、いまだ大阪府は警察との情報共有にほとんど応じないまま、こういう事件を引き起こしています(大阪市、堺市も同様に応じていません)。
 そこで、再度の要望書を提出し、大阪府の副知事さんに直接お会いし強くお願いしましたところ、担当者とは違い、大変前向きな姿勢を感じました。
 その後、大阪府の中央、東大阪、岸和田の3つの児童相談所の所長さんに、私から、警察との全件情報共有と連携しての活動の必要とメリットについて説明いたしました。この場も副知事さんにお願いしてセットしていただいたものです。私からは、何か不安なり懸念なりがあればお伺いしたい、それが誤解であればその旨ご説明するし、ごもっともなものであれば府警に伝えそれをできる限りなくすように努める旨お話しし、率直な意見交換をさせていただきました。正直なところ、それほどのご懸念はありませんでした。具体的な方法がまだ定まっていませんので、漠然とした不安があるのは当然のことですが、できないとかやるべきでないとか、そういうご意見は全くありませんでした。そもそも今でも大阪府の児童相談所は警察と半数近くの案件は共有しており(住民から警察に直接寄せられる虐待の通報は全案件の半数程度に上っており、それらは警察から全件児童相談所に提供していますので)、高知県、茨城県や多くの市町村では既に全件情報共有しておりますので、当然と言えば当然のことと思います。全件情報共有し今まで以上に連携して活動することにより、これまでより格段に子どもたちが守られることに異論は全くありませんでした。
 大阪府の児童相談所の所長さんからこのようなご理解いただいたことに誠にありがたく、厚く感謝申し上げる次第です。具体的な情報提供の方法とかは今後協議して定めていくことになると思いますが、大阪府では全件情報共有に向けた大きな方向性は定まったものと感じております。

2 次に、大阪府寝屋川市で女性が子どものころから16、17年間も両親から監禁され、十分な食事も暖房も与えられず体重がわずか19キロとなり、凍死させられたという残虐極まりない事件が明らかになりました。小学生6年の3学期ごろから登校しなくなり中学校はほとんど登校しなかったとされています。学校や教育委員会、市は何をしていたのか。親をちゃんと説得したのか、自分たちだけでだめなら児童相談所や警察に連絡したのか、他の機関は知っていたのか、情報共有したのか、どういうフォローをしたのか、いつ打ち切ったのかなど厳しく検証しなければなりません。子どもの所在不明事案であり、極めて残虐な虐待事件です。
 親が子どもに会わせなかったのであれば、学校や市は案件を抱え込むのではなく、警察と連携して強制的にでも家庭に立ち入り、この女性を子どものときに助け出さなければならなかった事案です。過去には、福岡で親が十数年子どもを家に監禁し、学校と児童相談所は知りながら親から面会を拒否されると警察に連絡せずそのまま放置し、子どもが18歳になったときに家から逃げ出し警察に保護されたという事件が発生しています。やはり警察を含めた関係機関の情報共有と連携した対応が不可欠なのです。
私どもは、このような事案も含む所在不明児童事案についても、学校、市町村、警察が情報共有の上連携して発見・保護活動を行うことを義務付ける法改正を求めておりますが、この法改正につきましても厚労省等は反対しておりますので、まずはこのような事件が起こった寝屋川市を含めた大阪府内の市町村で関係機関で協定を結ぶなどしていただくよう働きかけ、できる限り早期の実現を求めてまいります。それにしても、厚労省や文部科学省、警察庁は、このような想像を絶する悲惨な事件が起こりながら、この種事件の再発防止のために何か動いているのか? 法改正が必要とは考えないのか? 私どもみたいな、吹けば飛ぶような弱小NPOだけが、走り回って、ワアワア言っているだけでいいのか?
 不登校事案は大変数多いですが、その中には、親による監禁・ネグレクト事案はかなりあると感じております。私にも心配する他の親御さんから相談があります。学校・市町村は案件を抱え込むことなく、警察を含め他機関と情報共有し、子どもの目視での安否確認を続け、それが親が拒否するなどしてできなくなれば、警察に直ちに連絡し、子どもの安否を確認し、ネグレクト等により衰弱していれば直ちに救い出す、という取組を全国で徹底しなければなりません、このような多くの機関にまたがる活動は、法律で情報共有と連携しての活動を義務付けなければ、縦割りが強く、「個人情報保護」を必要な情報共有をしない正当化事由とし、「親の言い分を信じました」を子どもを助けなかった言い訳とする我が国の役所の体質からして、到底実効性は期待できません。このことはこれまでの3年の取組で痛感しています。この女性のように20年も家庭内で監禁・虐待され衰弱死・凍死させられるような残虐な事件は決して二度と起こしてはならず、そのためにはやはり法律による義務付けが必要不可欠です。
 悲惨な事件が続く一方で、大阪府で全件情報共有に向けた動きがみられるようになるとともに、箕面市が歩夢ちゃんの事件を受け要保護児童地域対策協議会の実務者会議に警察の参加を要請し、警察と全件情報共有する意向とも聞いております。徐々にではありますが、理解は広まっていると感じているところです。引き続き、ご理解ご支援のほどお願い申し上げます。