ブログ111 大阪府が全件共有を実施

1 結愛ちゃんの命を無にしないためにも、児童相談所と警察の全件情報共有と連携しての活動を求める署名運動を始めました。下記クリックの上ご賛同と拡散お願いします。

https://www.thinkkids.jp/

2 大阪府の松井知事が本日(平成30年7月19日)記者会見され、大阪府が本年8月1日から児童相談所と警察との全件共有を実施していただくことになりました。私は大阪府の児童相談所の3人の所長さんと1月に意見交換させていただいて、警察との全件共有について子どもを守るために必要との認識で一致し、それ以降、府と府警とで詰めていただいておりました。そのご努力に厚く感謝申し上げます。

 高知県では10年前から全件共有が実施されていますが、児童相談所所長さんによると、親に面会拒否されるケースはしばしばありますが、高知県では警察に連絡すると警察はすぐ来てくれて、一緒に家庭訪問します、すると親はまず子どもに会わせてくれるのでとても助かっています、強制的な立入り調査や臨検などするまでもありません、ということでした。
 また、ある県の所長さんは、夜間休日でない平日の昼間でも、児童相談所に通報が入り、児童相談所の職員がすぐにはいけないときには、警察署に依頼するとすぐ家庭訪問してくれ、結果を知らせてもらっています、と言われていました。

 児童相談所と警察と連携がとれているところでは、自然な協力関係がかなりできています。全件共有が実施されると、さらにいろんな形で協力関係が構築され、子どもを守ることができるようになりますし、児童相談所の介入業務(特に通報対応や安否確認など)の負担もかなり軽減され、児童相談所しかできない保護した子どものケア、里親委託や養子縁組などの家庭移行支援に今まで以上の力を注ぐことができるようになると考えています。

 児童相談所への一極集中、「介入と支援」の双方を担わされている矛盾を解消することが重要であることは、児童相談所関係者の方も以前から主張されています。警察との全件共有はその方向を進めるものであり、子どもをより守ることができるのみならず、児童相談所にとっても望ましいものであることは間違いありません。

3 さらに、警察との全件共有は「Working Together 関係機関が連携してがんばろう」という理念の第一歩にすぎません。一つの機関で対応できるほど児童虐待は甘いものではありません。児童相談所、警察、市町村、学校、病院、保健所など子どもを守る立場にある関係機関が、他機関の役割や貢献を理解し、敬意を表し、信頼関係を構築し、どういう方法が子どもを守るために最適であるかを議論し、ベストの方法で取り組んでいく、こういう理念、アプローチをとらなければ、子どもを守ることはできません。警察との全件共有はその第一歩です。市町村、学校、病院等も含めて各機関の能力が最大限に発揮できるような方法で連携して子どもを守るしかないのです。イギリスやアメリカでは日本の児童相談所の20~30倍の体制を有しています。それでも、「ワーキング・トゥギャザー」、警察との全件情報共有と連携しての活動を実施しています。児童相談所の人員を増やせば連携が必要ないなどありえません。

4 私は大阪府さんを含めいくつかの県や市の児童相談所の所長さんらと意見交換をさせていただいておりますが、いつも感じるのは、腹を割って話し合うことの重要性です。虐待から子どもを守るためにどういう方法が最善かということを、異なる立場の者どうしで話し合うと色んなアイデアが出て、いくつものいい取組ができるようになるということです。
 深夜徘徊、家出をする少年の多くは、家庭で虐待を受け、あるいは不適切な養育環境にあるケースが多いですが、このような子どもを警察が保護する場合には、児童相談所との情報共有が実現すると、「この子は虐待されている子ども」と分かりますので、児童相談所に連絡し、一緒に子どもを家に連れて帰り、親を指導することができ、子どもとその後もかかわりを持つことができます。これまでは、警察は「問題少年」として虐待家庭に戻すだけでした。
 警察は性犯罪被害を受けた児童の支援をし、児童相談所は性虐待被害児童の支援をしますが、これまではバラバラでした。必要なケアは同じです。情報共有がなされると警察と児童相談所が連携して、被害児童に対して今までよりいい支援をすることができるようになります。

 高知県、茨城県、愛知県、埼玉県、岐阜県にこの度の大阪府、多くの府県で全件共有を第一歩として、「Working Together 関係機関が連携してがんばろう」の取組が進めば、今は反対している都道府県でも実施されるようになると確信しています。しかし、それに時間をかけるわけにはいきません。その間に全件共有すれば救えるはずの子どもの命が救えないということが起こってしまうわけですから。東京都をはじめ多くの府県に引き続き働きかけを続け、早期に全件共有、そして、「Working Together 関係機関が連携してがんばろう」の取組が実現されるよう努めてまいる所存です。