ブログ121 厚労省、警察庁には千葉県に対するのと同程度の怒りを感じます

 結愛ちゃんの死を無にしないためにも、児童相談所と警察の全件情報共有と連携しての活動を求める署名にご賛同お願いします。ネット署名と署名用紙による署名と用意しています。

https://www.thinkkids.jp/

 千葉県野田市心愛さん虐待死事件が起こったさい、「だから、一昨年9月に訪問してあれほどお願いしたじゃないか。それから何度も上司に会わせてほしいとお願いしたじゃないか」という千葉県に対する怒りと同様の怒りを厚労省と警察庁に感じました。私どもは、4年半前から、平成26年夏から、東京都葛飾区愛羅ちゃん虐待死事件という児童相談所と警察が情報共有さえしていれば確実に救うことのできた事件を機に、厚労省、警察庁に対して、児童相談所、市町村、警察との全件情報共有と連携しての活動を義務付ける法律を制定するよう署名活動を行い、厚労省、警察庁の幹部と何回も会って働きかけ、当時の世耕官房副長官に関係省庁副大臣会議も設置していただき、要望書も提出してきました。しかし、両省庁とも全くの拒否でしたので、国会議員にお願いしたところ、衆参の厚労委員会は、平成28年、29年と二度も、「漏れなく確実に共有」(参議院)「全件共有」(衆議院)を政府に検討を求める附帯決議を全会一致でつけてくれました。
 公明党の古屋範子議員や民主党(当時)の井坂信彦議員は全件共有の必要性を委員会で訴え塩崎大臣に厳しく問いただしていただきました。塩崎厚労大臣は「できる限りの共有をしなければならない」と答弁しているのです。(以上につき下記シンクキッズHPの左側の欄にリンクを張っておりますのでご覧ください。またこれら以外の賛成の方のご論考、記事も掲載しております。)

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 それでも、厚労省、警察庁は応じないのです。そしてそのまま、昨年3月に東京都目黒区結愛ちゃん事件を引き起こしてしまったのです。私どもの要望を国が受け入れ、全件共有と連携しての活動を自治体に指示していれば、結愛ちゃんはあんなに残酷に虐待死させられることはありませんでした。
 しかし、これでようやく国も動くだろうと思い、私どもは、昨年6月に国に対する全件共有と連携しての活動を求める三度目の要望書を出し、両省庁に働きかけましたが、またまた拒否されました。これには唖然とし、このときはっきりと悟りました。厚労省、警察庁は、子どもを守る気がないのだなと。特に私の出身である警察庁がかくもやる気がないのには大いに落胆しました。警察庁が厚労省にやりましょうと言いさえすれば厚労省も反対できないのです。警察庁の最高幹部の意見の中には「下手に情報共有すると、知っていたとして責任を問われるじゃないか」というものもあり耳を疑いました。都道府県警察にも自治体に働きかけ全件共有と連携しての活動をするよう指示していないようです。むしろ逆の動きをしているのではと疑われる話もあり、一体全体今の警察庁の最高幹部は何を考えているのか、という思いです。結局、昨年7月20日に出された政府の緊急対策では、児童相談所と警察との情報共有は一部に限定されてしまったのです。そして、今回の事件をまたまた防ぐことはできませんでした。
 厚労省と警察庁が4年半も前からの私どもの要望を、多くの方の署名を、繰り返される虐待死事件を真摯に受け止めていれば、結愛ちゃんも、心愛さんもかくも残酷に虐待死させられることはありませんでした。厚労省と警察庁の責任は誠に重大です。

 自治体のほうが、真摯に受け止めてくれています。都道府県警察は警察庁と異なり熱心で、私からの要望を拒否した本部長はいませんでした。私の同期、後輩ということもあるのかもしれませんが、みんな極めて熱心で、連携を渋る県を説得してくれた本部長や県の幹部の方も少なくありません。警察庁の消極姿勢にかかわらず、熱心に取り組んでいただいている後輩を含め都道府県警察の方には頭が下がる思いです。現場の危機感、悪化する一方の児童虐待、親が怖く、親とのトラブルを嫌い親に逆らわない児童相談所、子どもに傷があっても親が「子どもが勝手に転んだ」と虐待していないと言うとそれをうのみに「虐待でない」と処理してしまう児童相談所、面会拒否されたらあっさり引き下がる児童相談所、通報があれば48時間以内にいけばいいとのんびりした対応を続ける児童相談所、こんな児相に任せていると大変なことになるという危機感があるのです。
 自治体も、高知県、大分県、広島県は私どもの要望以前から全件共有と連携しての活動を実施していただき(岡山県もほぼ全件共有に近い取組です)、昨年以降、茨城、愛知、埼玉、岐阜、群馬、大阪、岩手、神奈川、名古屋の各自治体にもうけいれていただき、現在横浜、川崎、相模原、横須賀、静岡などで基本的にご了解いただき前向きに準備をしていただいいております。ただ、千葉県と東京都は何度ひどい虐待死事件を引き起こしても拒否の姿勢は変わりませんし、兵庫県、神戸市、香川県は副知事、市長、知事に直接面会してお願いしても拒否されてしまいました。福岡県、福岡市も知事、市長との面会をお願いしても応じていただけません。これらの自治体にはご再考をお願いしておりますが、どういうご回答をいただけるかは分かりません。
 前向きな自治体が増えてきている一方で、いくらお願いしてもご理解いただけない自治体も少なくない現状では、国として直ちに昨年7月の全く不十分な政府の緊急対策を見直し、一部の案件の共有にとどまっているのを全件共有と連携しての活動を打ち出すことが必要です。これから、厚労省、警察庁、官邸、自民党、公明党をはじめ各政党に改めて働きかけてまいる所存ですが、役所の劣化が激しいといわれる昨今、政治、特に、官邸から、厚労省、警察庁に「担当省庁だろう!、もっと責任感もって、ちゃんとやれよ!、連携ぐらいしろ!、ふざけんな!」くらいのご指示をいただくよう期待しております。

 このようなかくも長き政府、多くの自治体での無策は、中央省庁、自治体の不作為について幹部に責任を取らせる法制度がないことが原因と考えております。株式会社の役員に対する善管注意義務違反に対する損害賠償責任類似の制度を中央省庁や自治体の課長以上に課する制度が必要ではないかと痛感しており(ご参考拙著「子どもが守られる社会に」(エピック社))、このような制度の整備についても働きかけてまいりたいと考えております。

https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784899852025

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