ブログ137 厚労省・警察庁などに5回目の要望書提出。何人子どもが殺されたら縦割りをやめて子どもを守るのか。ここまでくると人災

 昨日6月12日、政府に5度目の要望書提出し、13時から厚労省記者クラブで記者会見しました。
 私どもは平成26年から児相と市町村、警察との全件情報共有と連携した活動の義務付け等の法改正を求める署名活動を実施し、昨年6月結愛ちゃん事件、本年2月心愛さん事件を受け、上記法改正の実現を求める要望書を安倍総理あてに提出し、今回が5回目の要望書です(HP参照)。しかし、私どもの要望は無視され続け、

内閣総理大臣・厚生労働大臣等への要望書(2019.6.12札幌市詩梨ちゃん虐待死事件を受け)

昨年7月20日に取りまとめられた政府の緊急対策では、児相と警察との情報共有の対象は「虐待による外傷事案」に限定され、本年5月国会に提出され現在審議されている児童福祉法等の改正案にも全く取り入れられないまま、児相が知りながら子どもを救えない同様の事件が繰り返されています。東京都、千葉県や札幌市等多くの自治体ではいまだ関係機関の全件共有と連携しての活動を実施していません。厚労省・警察庁が私どもの要望を受け入れ、全件共有と連携しての活動の方針を打ち出していれば、東京都、千葉県や札幌市でも全件共有が実施され、それを機に両組織の間で互いの業務の理解が進み信頼関係が構築され、より連携した活動が行われるようになっていたでしょう。そうすれば、結愛ちゃん、心愛さん、詩梨ちゃんの命を救うことができました。厚労省・警察庁の責任は誠に重大なものがあります。一体、何人殺されたら、まともな対応をするのでしょうか。ここまでくると人災です。

1 札幌市で児童相談所と警察が対応しながら2歳女児の詩梨ちゃん(ことりちゃん)が虐待死させられました。報道によると児童相談所は二度通報を受けたが二度目は面会できないままで、警察も通報を受け家庭訪問したが、どちらも虐待ではない(あるいは緊急度が低い)と判断したまま、虐待死させられました。事実関係が明らかでない現段階ですが、児相と警察の甘いリスク判断と十分な情報共有・連携しての活動がなされていなかったものと推測されます。
 北海道の児童相談所は、本年3月道警と全件共有と連携しての活動を受け入れていただきましたが、札幌市の児童相談所は道警との全件共有を必要ないとして拒否したままでした。http://www.thinkkids.jp/archives/1658

 心愛さん事件、詩梨ちゃん事件以外にも、本年に入り、児相が知りながら警察と情報共有しないまま、間一髪で虐待死を免れた事件が続発しています。
① 福岡県筑紫野市で、福岡県の児相が虐待家庭と把握していた家庭で、8歳の女児に母親
と同居男から真冬に水風呂に長時間入れられるなどの虐待が長期間行われていた事件。教師が女児のあざに気づき児相に通報し発覚した。福岡県の児相は「虐待ではない、緊急性が低い」と判断し、警察と情報共有していなかった(本年3月殺人未遂罪で逮捕)。
② 横浜市で、3歳女児に大やけどを負わし放置した母親と同居人の男が逮捕された事件。
女児の兄の5歳男児が知り合いの大人を家に連れて行き、「妹の皮がむけている」と訴えたことがきっかけで、警察に通報がなされ、警察が体にラップをまかれ放置されている女児を発見・保護した。母親と同居男は二人を残してパチンコに行っていた。横浜市の児相は何回か面談していたが「虐待ではない、緊急性が低い」と判断し、警察と情報共有していなかった(本年3月保護責任者遺棄罪で逮捕)。
③ 仙台市で、7歳の小2男児が学校の教師に「父親から投げ飛ばされ、蹴られた」と訴え、
学校は翌日に児相に通告したが、児相は自ら家庭訪問もせず、警察に連絡もしないでいたところ、その3日後に児童は父親から2時間半にわたり暴行を受け続け、児童は自ら夜間に800メートルも離れた交番に助けを求めた事件(本年5月傷害罪で逮捕)。

 上記の事件は、教師があざを発見しなければ(①)、5歳男児が知人に妹の被害を訴えなければ(②)、7歳男児が自ら交番に駆け込まなければ(③)、いずれも虐待死していたかもしれない事件です。福岡県、横浜市、仙台市の児相はいずれも、私どもが求める児相と警察と全件共有と連携しての活動を受け入れないままですが、教師や幼い子どもたちの行動がなければ、虐待死等重大な事案に発展したおそれがかなりあったのです。結愛ちゃん事件を引き起こした東京都、心愛さん事件を引き起こした千葉県のみならず福岡県、横浜市、仙台市等多くの自治体で、児相が案件を抱え込み警察等との連携を拒み、多くの子どもたちを非常に危険な状況に放置している現状にあるのです。

2 厚労省にも多くの自治体にも5年間にわたり、私が訴え続けているのは、虐待リスクの正確な判断は神ならぬ人間の身でできるわけがない、親は虐待を隠すのが通常で、子どもは自ら被害を訴えられないのだから、1回や2回の家庭訪問で「これは虐待ではない」と判断することは危険極まりない。せっかく通報のあった案件を、一つの機関の判断で「これは大丈夫」と案件を抱え込むのではなく、児相、市町村、警察、学校、病院、民生委員等多くの機関で、子どもに危険な兆候がないか見守ることが必要だということです。一つの機関だけで子どもを見守るよりも、子どもや家庭と接する機会のある多くの機関で見守ったほうが、子どもに安全なことは自明ですが、その大前提として、全ての虐待案件が関係機関で共有されなければなりません。誰もどこに虐待されている子どもがいるかを知らされないままで、子どもを守ることなどできないからです。

 札幌市は警察との全件共有を受け入れていませんが、本件は警察にも通報が入ったことから、警察も対応していました。児相は本件について警察に事前に情報提供していたのか、していたとするとそれを踏まえて警察はどう判断したのか(事前の情報提供がなかった場合には、警察は自らに通報が入り対応しても虐待を見逃してしまうリスクを抱えていたことになります。葛飾区愛羅ちゃん虐待死事件参照)、そして、警察からの通報を踏まえ児相はどう判断し対応したのかが検証されなければなりません。少なくとも、児相は自らへの2度の通報と面会拒否、警察への通報とかなりのリスク情報を持っていたわけですので、それを踏まえ関係機関でどう役割分担し対応するという方針を取っていたのか検証する必要があります。

3 野田市の要対協実務者会議に3回陪席し、気づいた点を提言させていただいています。心愛さん事件以降、野田市の要対協実務者会議は大変機能していると思います。野田市、柏児相、野田警察署、学校、病院、民生委員等多くの機関が全件共有し、これらの機関が子どもに危険な兆候がないか見守る、そして危険な兆候が見られれば直ちに警察に通報し、警察が直ちに家庭訪問し子どもの安否を確認、けが・衰弱等してれば緊急に子どもを保護するという仕組みが作られつつあります。野田市の熱意ある対応を見ていると、野田市でそのような仕組みが作られるものと確信しています。もちろんそれでも虐待死をゼロにできる保証はありません。親の精神状態の急速な悪化、衝動的な暴力、暴力的な男との同居開始など、関係機関が危険な兆候を把握できないことは当然あるからです。しかし、このような仕組みを作り、試行錯誤をしながら、より良い連携の仕組みに常に改善していくことで、できる限り虐待死を少なくすることになると思います。これまでのように児相が案件を抱え込んだままよりも、格段に子どもが守れることは間違いありません。

 札幌市の事件については事実関係を踏まえ、再発防止策を講じなければなりませんが、基本的には、上記の野田市が作ろうとしている仕組み、多くの機関が全件共有し、これらの機関が子どもに危険な兆候がないか見守る、そして危険な兆候が見られれば直ちに警察に通報し、警察が直ちに家庭訪問し子どもの安否を確認、けが・衰弱等してれば緊急に子どもを保護するという仕組み、を構築することだと確信しています。何度も言っておりますが、「全件共有」は第一歩にすぎません。全件共有を契機として、関係機関が互いの業務を理解し信頼関係を構築することにより、加速度的に様々な連携ができるようになるのです。札幌市はもちろんのこと、警察等との全件共有を拒む多くの自治体では、繰り返される虐待死事件を教訓として、有効な再発防止策である「関係機関の全件共有と連携しての活動」を講じることを強く求めます。