ブログ138 福岡県・福岡市・北九州市に再度の要望書提出。3月の筑紫野市事件は極めて危険。

1 6月12日、福岡県・福岡市・北九州市に再度の要望書を提出(郵送)しました。

再度の児童相談所と警察との全件共有と連携しての対応を求める要望書(2019年6月12日)

 児童相談所と警察との全件共有と連携しての対応につきましては、本年2月、福岡県知事、福岡市長、北九州市長あてに要望書を発出し、福岡市長には直接面談して要望しておりますが、いまだ受け入れていただいておりません。その後、3月には筑紫野市で児相が関与していた家庭において、小2女児が真冬に長時間水風呂につけられるなどの凄惨な虐待事件が発生しました。この事案は、福岡県の児相が虐待家庭と把握していた家庭で、8歳の女児に母親と同居男から真冬に水風呂に長時間入れられるなどの虐待が長期間行われていた事件です。教師が女児のあざに気づき児相に通報し発覚しました。福岡県の児相は「虐待ではない、緊急性が低い」と判断し、警察と情報共有していませんでした(本年3月殺人未遂罪で逮捕)。教師があざに気づかなければ、虐待死させられていた危険性はかなりありました。
 この事件は、改めて児相と警察の全件共有と連携しての活動が必須であることを明らかにした事件です。すなわち

① 保護者らが水風呂を選んだ理由として「たたいてあざが残るといけないと思った」と供述しており、悪質な保護者ほど傷やあざが見えるところにつかないように虐待することから、福岡県・福岡市・北九州市が警察との情報共有の対象を「外傷」が認められる事案に限定することの危険性を明らかにしたものであり、
② かつ、本事案はもともと学校が通報していた事案ですが、一般論として、児相から虐待児童と知らされないままでは、あざに気づいた学校も虐待ではないと軽信し通報しないリスクがあり、かかるリスクは児相から案件を一部しか提供されていない警察は抱えている(そのような事案で警察が虐待死を見逃し虐待死に至ったものとして東京都葛飾区愛羅ちゃん事件)
からです。

 6月5日には、札幌市で児相と警察が関わりながら虐待死に至らしめた事件も起こっており、児相と警察等関係機関の連携・協力の重要性はますます明らかになっています。
 結愛ちゃん事件を引き起こした東京都、心愛さん事件を引き起こした千葉県のみならず福岡県等多くの自治体で、児相が案件を抱え込み警察等との連携を拒み、多くの子どもたちを非常に危険な状況に放置している現状にあるのです。

2 福岡県・福岡市。北九州に何度も私が訴え続けているのは、虐待リスクの正確な判断は神ならぬ人間の身でできるわけがない、親は虐待を隠すのが通常で、子どもは自ら被害を訴えられないのだから、1回や2回の家庭訪問で「これは虐待ではない」と判断することは危険極まりない。せっかく通報のあった案件を、一つの機関の判断で「これは大丈夫」と案件を抱え込むのではなく、児相、市町村、警察、学校、病院、民生委員等多くの機関で、子どもに危険な兆候がないか見守ることが必要だということです。一つの機関だけで子どもを見守るよりも、子どもや家庭と接する機会のある多くの機関で見守ったほうが、子どもに安全なことは自明ですが、その大前提として、全ての虐待案件が関係機関で共有されなければなりません。誰もどこに虐待されている子どもがいるかを知らされないままで、子どもを守ることなどできないからです。

3 野田市の要対協実務者会議に3回陪席し、気づいた点を提言させていただいています。心愛さん事件以降、野田市の要対協実務者会議は大変機能していると思います。野田市、柏児相、野田警察署、学校、病院、民生委員等多くの機関が全件共有し、これらの機関が子どもに危険な兆候がないか見守る、そして危険な兆候が見られれば直ちに警察に通報し、警察が直ちに家庭訪問し子どもの安否を確認、けが・衰弱等してれば緊急に子どもを保護するという仕組みが作られつつあります。野田市の熱意ある対応を見ていると、野田市でそのような仕組みが作られるものと確信しています。もちろんそれでも虐待死をゼロにできる保証はありません。親の精神状態の急速な悪化、衝動的な暴力、暴力的な男との同居開始など、関係機関が危険な兆候を把握できないことは当然あるからです。しかし、このような仕組みを作り、試行錯誤をしながら、より良い連携の仕組みに常に改善していくことで、できる限り虐待死を少なくすることになると思います。これまでのように児相が案件を抱え込んだままよりも、格段に子どもが守れることは間違いありません。

 福岡県・福岡市・北九州市には、筑紫野市事件等多くの事件を教訓に、先進的な府県に倣い、全件共有と連携しての活動を実現していただくことを強く望みます。