ブログ149 福岡市で児相職員が父親が幼児を殴るのを目撃しながらそのまま帰る 児相職員だけで対応させるの子どもを救えないのみならず、無理で酷

1 福岡市で2人の子供に対する暴行容疑で両親が逮捕された事件で、市こども総合相談センター(児童相談所)の職員が自宅訪問した際、父親(29)が三男(5)を暴行する様子を目撃したにもかかわらず、口頭で注意しただけで引き揚げていた。児相から翌日連絡を受けた福岡県警が子供たちを緊急保護し、その日のうちに両親を逮捕した。長男が通う小学校から虐待に関する情報提供を受け、児相の職員が同30日、自宅を訪問。長男の顔にあった擦り傷について職員が尋ねたところ、長男は「自分で転んだ」と答えた。しかし、三男が「ママがやった」と話したことに父親が激高し、職員の前で三男を殴ったという。職員は父親を口頭で注意したが、父親から「帰れ」などとどなられ、そのまま家を出た。児相側から県警への連絡は翌日朝だった、と報じられています(2020年2月4日読売新聞)。

 福岡市児相のこの対応については、「毅然と対応しろ」とまたいろんなところから指摘されるでしょうが、私がずっと申し上げているとおり、警察官でない普通の公務員である児相の職員に虐待対応させるのは無理なのです。虐待親は罵詈雑言、威嚇的言動を行い、暴力をふるうことも少なくないのです。児相職員が親からどなられたら怖くなり、毅然と対応しないのは仕方なく、責められるべき、改善されるべきところはそこではないと思うのです。
 結愛ちゃんの母親に面会拒否されたら、「親との信頼関係」を理由にそのまま放置し、警察に連絡しなかった東京都の児相、心愛さんの父親に引き取りを強く求められると、すぐ一時保護を解除してしまった千葉県の児相、みんな親が怖いのです。警察の現場にいた私は、警察官でない児相の職員に虐待親に毅然と対応することを求めることは無理を強いるものだと確信しています。しかし、だからといって、親におもねり、子どもを危険なまま放置してはならないのは当然です。
 過去にも福岡市では少女が18歳になるまで18年間も母親に家に監禁され、小学校も中学校も一日も通うことができなかったが、2005年10月、自力で逃げ出しコンビニに助けを求め警察に保護された事件が起こっています。少女は手や足を縛られたり、食事も与えられないこともあり、風呂も5カ月に1回しか入らせてもらえなかった。学校の教員と福岡市の児童相談所職員も家庭訪問はしたが、母親から面会拒否されると、そのまま放置し、警察に通報もしませんでした。
 なぜ親の言うがままにしておくんだ、なぜ毅然と対応しないのかと思う方がほとんどだと思いますが、私は児相職員が親を怖がるのは仕方がなく、「毅然と対応しろ」というのは酷だと思うのです。だからこそ、警察と連携して対応してほしい、全件共有の上、けがや威嚇的言動、面会拒否等子どもにとって危険が高い場合には直ちに連絡して毅然と対応できる警察が子どもを守ることができるように連携してほしいと要望しているのです。責められるべき、改善されるべきところは、毅然と対応することが無理な現場の児相の職員に警察と連携させず、単独で無理な業務をやらせていることなのです。福岡市にも何度もお願いしておりますが、福岡市は福岡県、北九州市ともども何年にもわたり私どもの要望を受け入れていただいていません。今回の事件を貴重な教訓として是非受け入れていただきますようお願いいたします。

2 結愛ちゃん事件、心愛さん事件等児相の腰の引けた対応が露わになった事件のたびに、児相の職員増や専門的能力の向上が対策としてとられ、かなり増員になりましたが、そんなことをしても親が怖く毅然と対応することができないことは変わらないのですから、何も変わらないのです。一部の学者や医師、弁護士、マスコミは、警察との全件共有と連携しての活動に反対し、その代わり、「毅然とした対応」を児相職員に求めます。しかし、児相職員に単独で虐待親に毅然と対応することを求めるのは酷なのです。このような方々は、児相の現場に無理を強いているのです。私どもの求める警察との全件共有と連携しての活動は、子どもを格段に救うことができるとともに、児相の現場職員の負わされている無理で酷な業務をなくすことも目的としているのです。いまだ全件共有を受け入れていただけない知事や市長さんは、現場で疲弊している職員の意見をよく聞いてほしいと思います。現場の方は警察と連携したい、なぜ児相単独で対応しなければならないのかと思っているのです。

3 また、この案件で小学校は警察に通報したのでしょうか。千葉県野田市心愛さん事件の教訓を踏まえ、昨年5月9日に出された文科省の「学校・教育委員会向け虐待対応の手引き」では、児童に外傷が認められる場合は学校は警察に通報することとされています。学校が警察に通報し、警察官が訪問していれば、三男は殴られることもなかったでしょうし、この父親も逮捕されるようなことはしなかつたでしょう。児相だけの対応では、暴力的な虐待親への抑止力があまりありませんから、子どもを守れないのです。これまでも全国で同じような事件が繰り返し起こっていましたが、文科省が心愛さん事件を教訓に上記の手引を作成してくれたのです。福岡市いや全国の学校は、是非、文科省の手引きに従い警察に通報することを強く求めますし、文科省も全国の教育委員会に改めて注意喚起の通達を出していただくようお願いいたします。