ブログ156 遅ればせながらの全国休校要請にすら反対する一部野党・マスコミ等―児童虐待対策と共通の「不作為の正当化」

1.安倍総理の2/27の「全校休校措置」は遅ればせながら正しい措置です。それまでの新型コロナウィルスに対する安倍内閣の対応は最悪に近く、中国全土からの入国制限をしなかったのは(現在もしない)、それを講じた米国、台湾、シンガポールらと日本と同じくしなかった韓国の感染状況の比較からしても致命的な誤りだと思います。それ以外も、最も力を入れるべき、感染リスクの高い満員電車の混雑率の緩和、出社抑制、休校措置、イベントの中止など実効ある対策は、口で言うだけで、企業、学校、主催者等に「丸投げ」状態で、効果ある対策、国民が政治に期待する対策は、全く打ち出しませんでした。

これまでの新型コロナウィルス対策は無策の児童虐待防止対策と見事にシンクロ

萩生田大臣はもう一歩踏み出し「全国で今週中に休校措置を取っていただきたい」

政府の基本方針に脱力、企業、学校、自治体等に丸投げ

 ようやく2月27日に安倍総理が全校休校措置の要請をしていただき、遅ればせながら有効な感染拡大防止措置がとられることになったことは、下記ブログ154「メルマガ ㊗安倍総理が全国の全小中高校の休校措置を要請すると表明」のとおり、安倍総理が、政治家らしく、リスクを取った英断であると考えます。

㊗安倍総理が全国の全小中高校の休校措置を要請すると表明していただきました

 その発表が唐突で、かつ、共働き家庭などへの支援措置等も明確でなかったことから、共働き家庭などから困惑、不満の声が上がることは理解できます。もっと早く、個人的には2週間程度前に告知して、子育て家庭、自治体・学校等に準備期間を設け支障をできる限り少なくする態勢を整備して、1週間前に実施すべきであったと考えます。事前の準備がなく、唐突になされたことは問題ですが、それでもこの時点で全国休校措置要請を決断した安倍総理の判断は、予想される批判を甘んじて受けて政治家として決断したものであり、高く評価されるべきものです(そもそもこれらはもっと前から対策を準備し進言していなかった役人の怠慢・無能によるものと考えます。これについては別途述べたいと思います)。
 子どもの命、あるいは子どもから感染する高齢者等の命にかかわることであり、最優先で、先手先手で取り組まれなければなりません。遅すぎるという批判はあり得ても(私はそう考えます)、上記の問題はあるにしても、休校措置は是非とも必要な対策であり、社会全体の理解を得て効果的に進めていかなければなりません。

2.これに対して、一部野党、一部マスコミなどは、上記のもっともな困惑、批判を超えた、批判のための批判をし、社会の理解を得られないように得られないようにとの発言、報道をしているように感じます。

 

感染者が出ていない学校、自治体でなぜするのか

←出てからでは遅いことは明らか。子どもが感染する前に対策を講じるのがなぜ悪いのか。

エビデンスがない

←この時点で確かなエビデンスなど出せるわけがない。エビデンスがない現時点で日本よりもっと厳しい措置を取っている国ばかりである。

政府にそんな権限あるのか

←ないに決まっている。だから「要請」だと言ってるでしょ。

専門家の意見を聴いたのか

←そもそも国民に責任を取れない「専門家」が判断できる範疇のものではない(特に今事案ではクルーズ船対応など「専門家」の信用できない対応が目に余る)。国民に責任を負っている政治家の責任でおこなうべきものである。

 

 これらの批判は「不作為の正当化」とでもいうべき態度・姿勢であり、児童虐待対策でも「今までのやり方を変えたくない」として警察との連携を拒む児童相談所にみられるような、とにかくめんどくさいことをしたくないのが本音の役人とその役人の反対を押し切って必要な対策を講じることができない政治家という、わが国でよく見られる悪弊です。
 しかも、これらの野党・マスコミは安倍内閣の最大の失敗である中国全土からの入国禁止は批判せず、遅ればせながらよくやった対策にピントのずれた批判を繰り返しています。この振る舞いには、戦前のマスコミが国民に戦争をあおり、政府を弱腰外交と罵った歴史を思い出しました(筒井清忠「戦前日本のポピュリズム」参考)。これら一部のマスコミは「公正な報道機関」としての矜持があるのなら、党派性丸出しの報道で国民に誤解を与えるのでなく、「是々非々」を貫くべきです。

 危機対応の基本は「最悪の事態を想定して対応する」ことです。ましてや子どもの命がかかっているのです。最悪の事態を想定して対応すべきで、ギリギリの対応でいいはずがなく「エビデンスがないからやるべきでない」などと本気で言っているのでしょうか。
 子どもを守る観点からはなぜここまで遅れたのかと批判はありえこそすれ、なぜ感染者が出ていないのにするのか、という批判は子どもを守る立場に立つ限りありえません。現時点で感染者が出ていない自治体・学校では休校措置をとる必要がないということでしょうが(2月27日に発出した東京都あて要望書に記載のとおり)、検査がわずかしか実施されていない現状から、そもそも検査を受けている児童生徒、教職員らがほとんどいないということの結果に過ぎず、現時点で県内に感染者がいないと判断することは楽観的にすぎます(愛媛県知事は総理の要請に「場当たり的」「唐突」と批判されておられましたが(2/28)、3/1に愛媛県で感染者が確認されました。)。また、同ウィルスの潜伏期間が長く、長期間元気なまま発症しないケースが多いのですから、休校措置をとらないままでは、知らぬまま多数の児童生徒に感染させてしまうことになります。北海道中富良野町、愛別町、江別市、千葉市、金沢市で児童や教職員に感染が確認され、学校現場に感染が確実に広がっています。他の地域で学校に感染者がいないと考えることは楽観的にすぎます。また、感染の危険の極めて高い満員の電車で通学している児童生徒も少なくないことから、休校措置を講じる必要性は疑いの余地はありません。
 感染者が出ていない現時点でこそ、休校措置を講じ、避けることのできる児童生徒への感染を避けなければなりません。同ウィルスは当初言われていたより、危険がかなり高いといわれています。子どもたちは重症化しないという中国の分析は信じるに足るのか、そもそも未知のウィルスであり今後凶暴化することもありうるのですから、より慎重に判断するべきでないでしょうか。楽観主義に走り、命の危険に関わる感染リスクを子どもたちに負わせてはならないことは自明のことです。親の負担も都、市町村、勤務先企業等により然るべき支援措置が講じられることによりある程度軽減することは可能であり、いずれにしても子どもたちの命より優先される理由とは到底なりえません。

 もちろん休校措置だけでは効果が期待できず、出社抑制、在宅勤務、満員電車の混雑率の緩和、イベントの中止等あらゆる対策を講じて、感染拡大を図っていく必要があり、その点につき安倍内閣の対応は必死さに欠けます。安倍総理は、全校休校措置に続き、企業に対して出社抑制に向けた実効ある取組がなされるよう必死で働きかける必要があり、そのような姿勢により、党派性丸出しの一部マスコミの批判に関わらず、多くの国民の理解・支持を得られるものと確信いたします。