ブログ164 「専門家」はこのままの緩い対策で死者数いくらと推計しているのか

 過去のメールで何度も触れていますが、日本の専門家と海外の専門家は、全く真逆です。海外の専門家は、リスクを厳しく判断し、政府に厳しい措置を求めています。3/26の読売新聞では、イギリスでは当初日本と同じように厳しい行動制限をしなかった、方針転換したのはインペリアル・カレッジ・ロンドンの研究チームが、そのような流行を穏やかに抑えようとする対策では二十数万人が死亡し、医療体制も破綻するとして、「感染者の発生を強い対策で封じ込めるしかない」と結論付け、イギリス政府も直ちに受け入れ、厳しい隔離措置を実施した、と報じています。

 また、がん研がんプレシジョン医療研究センター所長の中村祐輔先生は、「集団感染して、国民の大多数に免疫ができるのを待っているかのような発言をしていた英国のジョンソン首相は、それでは50万人くらいの死者がでるとの予測値を聞き、一転して、家族に会うのも見合わせた方がいいと発言を修正している。「君子は豹変す」だ。経済的な打撃は起こっているが、日本の国内感染者数は1000人を超えている。どこから感染したのかわからない人の割合も増えている。危機が迫りつつあるのではなく、危機は目に前にある。」

http://yusukenakamura.hatenablog.com/

と述べられておられます。

 日本の「専門家」の多くは、3/19になっても感染防止に極めて緩い対策しか提言せず、しかも、検査数も海外より桁違いに少ないままでいいという方針はー正確に感染者を把握しなくていいし、自らの感染を知らないままの感染者からの感染拡大を防止しなくていいということになるー当初のイギリスのように国民に集団感染させ集団免疫で対応しようとしているのではないかとも感じられてしまうのですが、日本の「専門家」は、今の提言している対策のもたらす結果を、死者数を、インペリアル・カレッジ・ロンドンのように予測しているのでしょうか。是非公表していただきたいと思います。

 3/26読売新聞によると、3/19に公表された専門家会議の見解は、当初の暫定版から大幅にトーンダウンされていた、大規模なイベントについては、「いったん、「中止」を明記する方向は「厳しく締め付けるのは限界がある」など慎重な意見で転換した。」と、感染症の評価については、「危険な感染症」から「十分な注意と対策が必要な感染症」と、全国の状況分析については、「必ず爆発的な感染拡大を伴う大規模な流行が起こると判断している」が「爆発的な感染拡大を伴う大規模流行につながりかねない」、にトーンダウンしたと報じられています。

 前メールで指摘した通り、3/19日の専門家会議の見解は、素人からみても甘すぎる内容でした。

http://www.thinkkids.jp/archives/1859

 その結果、一挙に緩和ムードとなり、20日からの三連休で大規模イベントが各地で開催、花見に大量の人出が出るなど国民に危機感が伝わらず感染の大幅拡大―2週間後に明らかになるーが起ったと考えられます。26日でも目黒川の花見に大量の花見客が出て、繁華街では夜間まで飲食店は満員の状況です(27日テレ朝7時の報道番組)。
 また、萩生田文科大臣が新学期から学校が再開されることが望ましいと3/19に発言し、4月から学校再開する方針を表明、東京都も4月から学校再開の方針とされ、24日に公表された文科省の学校再開ガイドラインも、学校の現場に丸投げした、先生に責任を押し付けたような、こんなことで感染拡大が防げるとは到底思えない、危機意識の感じられない内容です。
 ようやく、23日には小池知事が「都市封鎖の可能性を示唆」25日には「都民に土日の外出自粛要請」、を行いましたが、北海道の知事が2月28日に宣言したのと比べ遅すぎます。なぜ、こんなにちくはぐで、大臣や東京都知事に危機感に乏しいのでしょうか(東京都知事はようやく3/23に転換したようですが)。やはりそれは「専門家」の楽観的な、危機意識が極めて乏しいことが最大の原因だと考えられます。
 日本の専門家会議のメンバーの一人である岡部先生は、3月中旬になっても
 「新型コロナはそこまでのものではないと考えている」、「言い方が難しいのですが、日本では緊急事態宣言を出したり、社会が恐れおののいたりするようなものではないという思いは、比較的早い段階から変わっていません。だからといって、放っておいていいわけではない。患者が増えれば重症者も増えるので、感染拡大をできるだけ抑えて重症者を救うことに注力すべきです」と述べておられます(3/18朝日新聞)。

https://digital.asahi.com/articles/DA3S14406539.html

 日本の特措法に基づく緊急事態宣言をしても、国民に禁止を求めることはできず、多くは要請しかできません。強制力はなく、諸外国で取られている措置と比べて大変緩いもので、果たして効果があるのか危惧されるくらいです。それすら出す必要がないという判断は、ヨーロッパ・アメリカの多くの国の専門家とは正反対です。岡部先生は「感染拡大をできるだけ抑えて」と述べておられますが、そのためには、できるだけ感染者と接触させないようにするための各種隔離措置ー特措法に基づく対策は弱すぎるとはいえそれらの措置ーが必要でないのでしょうか。このまま特措法に基づく措置をとらずに、感染拡大をどうやって図れるのでしょうか。ご見解を承りたく存じます。
 また、専門家会議のメンバーの一人である押谷教授はキャスターからの「日本はPCR検査が少ないので見逃している感染者が多数いるのではないか」という問いに対して、「多数の感染者がいるのであればオーバーシュートが起きているはず。日本ではオーバーシュートは起きていない。クラスターさえ見つけられれば制御ができる。PCR検査を抑えていることが日本が踏みとどまっている大きな理由だ。」という趣旨のことを言われています(3/22NHKスペシャル)。しかし、無症状感染者が多くいるのですから、検査しないだけで多数の感染者がいると考えるのが常識的な判断だと思いますし、今認識しているのは2週間前の状況であり、こんな緩い対策のままでは現時点あるいは近い将来に日本でオーバーシュートが起こらないとなぜ言えるのか、なぜここまで楽観的にテレビでご発言されるのかが分からない(私もそうなることを心から願っていますが、専門家がそんな楽観的でいいのかということです。これでは楽観的な一般人と変わらず、花見に大量に繰り出す、ライブに多数若者が集まるという風潮は変わらないのではないでしょうか)。さらに、「全ての人を検査すると医療崩壊が起きる」とも言われていましたが、私を含め検査の在り方に懸念を持っている多くの方は「全員検査しろ」などとは言っておらず、症状のある人は4日も待たせずに、あるいは医師の要請を断らずもっと広めに検査をすればどうか(専門家会議の尾身副座長も参議院の公聴会でそのようにご発言されていました)、医療崩壊しない範囲で検査を拡大すればどうか、と言っているのです。これすらダメなのでしょうか。
 一方、北海道大学の西浦教授は、

3月19日に少しでも良いニュースが伝わり、小中学校などの休校が解除される方針が伝わったことで、市民の間で「解禁ムード」が広がってしまっていることを大変危惧しています。行動がいつも通りに戻ってしまうと、アメリカや欧州各国で見られるような爆発的な感染者数の増大が懸念されるためです。特に大規模イベントを流行地域で再開してひとたび大規模流行が発生すると、流行が制御不能になります。

と、解禁ムードに警鐘を鳴らしておられます。「3/19の良いニュース」というのは、専門家会議の甘い見解、萩生田文科大臣の学校再開方針などを指していると思いますが、専門家の方でもこのような危機意識の強い方はおられるのです。それが「専門家会議」の見解とはならないことが大変大きな問題です。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200324-00010000-mthree-soci

 また、中村祐輔先生は、

「PCR検査の観点からは明らかに見たくないものを見ないように背を向けているだけに映ってしまう。感染症を含め、いかなる災害・天災対策は、正確な現状把握が根底にあってこそ正しい対策につながるのではないだろうか。医療崩壊を防ぐために数字を抑え込むのは科学的ではない。・・もし検査を抑え込んだまま感染が深く静かに広がれば一気に危機的状況を生み出してしまう。PCR検査で感染者数が急増したとしても、無症状者や軽症者を収容できる体制を整え、重症者が十分な医療を受けることができる環境整備が国の責任だ。軽症者のためにホテルや企業の研修所などを短期間転用するなどの措置は海外でも実施されている。」(産経新聞3/25)

https://special.sankei.com/f/seiron/article/20200325/0001.html

と、検査数を少ないままでいいという日本の多くの「専門家」の考えに強く疑問を呈せられています。
 このような危機意識を強く持っておられる医師の方もおられるのですから、是非、政府はこういう先生方の意見を取りいれ、楽観的な、あるいは集団感染させて集団免疫で対処すればいい(死者数はどれだけに上るかは知らないよ)と考えているのかもしれない、「専門家」の意見を排除して、感染拡大防止に必要な対策を取ることを強く求めます。
 そして、多くは要請しかできず、違反に担保措置のない現行の特措法では、感染拡大防止に効果がないことも十分予測されるのですから、諸外国の例に倣って、より強い措置、あるいはその違反に罰則等の担保、それに伴い必要となる補償規定等を整備した法律を早急に整備して、諸外国のように爆発的に感染拡大した際に直ちに必要な対策を講じることのできるよう準備が必要と考えます。それを行使せずにすめば、それにこしたことがないわけですが、このような準備をしておかないと爆発的に感染した場合に必要な対策がとれません。諸外国では準備をして、それを実行しても全く収まる気配のない驚くべき現状を教訓とすべきでないでしょうか。「専門家」には、こういうことを言ってほしいと心から願うものです。