ブログ201 本庄市の事件では子どもを「猫用ケージ」に監禁、雨水タンクに入れて転がしていたことが発覚、足立区ウサギ用ケージ監禁虐待死事件をほうふつさせる

埼玉県本庄市の自宅で今年1月5歳の歩夢くんを投げ倒して死亡させ、遺体を床下に埋めたとして母親と同居の男女3人が傷害致死、死体遺棄で逮捕、起訴された事件で、昨年1月31日、当時4歳だった歩夢くんをワインだる形状のプラスチック製の雨水タンクに入れてふたを閉め、数分間タンクを倒して転がしてたたく暴行を加えた、同5月29日には顔を殴打して、足を持って逆さづりにするなどした上で、猫用ケージに約2時間半監禁していたとして監禁や暴行の疑いで再逮捕したと報じられています。下記TBSニュースでは私のコメントが掲載されています。

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/44183?display=1

残忍極まりない事件で、東京都足立区玲空斗ちゃんウサギ用ケージ監禁虐待死事件をほうふつさせます。この事件では、東京都の児童相談所は、11回家庭訪問し2回しか会えなかったにもかかわらず、リスク判断を変えず警察に連絡もせず、放置し、虐待死に至らしめました。事件後児童相談所所長は「虐待を疑う情報がなかった」と発言しています(2015年5月20日朝日新聞)。
本庄市も、事件発覚後、一連の対応について市は「虐待の兆候が見られなく、母子関係が良好だったことから対応に問題はなかったと考えられる。結果として何とかできなかったかと思うが、それぞれの時点では適正だったとという認識でいる」 (2022年3月7日埼玉新聞)と発言しています。

叱られる息子をスマホで撮る母親…店で男が正座させる異様な光景 市「母子は良好関係」…数日後、息子死亡(埼玉新聞) – Yahoo!ニュース

本庄市と東京都の児童相談所に共通するのは、自分たちで案件を抱え込んで、ほとんど家庭訪問もせず、あるいは家庭訪問してほとんど会えなくとも危機意識を持たずそのままほったらかしにしていても、虐待の兆候をつかめなかったのだから「虐待死させても自分たちは悪くない」と自己正当化を図る姿勢です。
まず、驚かされるのは、子どもを守るために、虐待の兆候をできるだけ多く把握しようという発想が全くないことです。子どもを守るためには、より多くの情報を得て虐待リスクをできる限り正確に判断しなければならないことは一般人でも分かります。そのためには、自組織だけで案件を抱え込むのではなく、警察等多くの機関と案件を共有して他機関が既に保有する、あるいは今後把握しうる情報も得る必要があり、連携して活動しなければならない、ということも、子どもの安全を考えれば誰でもわかります。多くの一般人の方は、児童相談所も市町村も当然そうやっているのだろうな想像しておられます。
ところが、東京都の児童相談所や本庄市などには、こういう当たり前の考えが頭から完全に抜け落ち、自分たちだけで得られる情報がわずかでも、それだけに基づいて虐待リスクを判断してよい、それで虐待に気づかず子どもが虐待死しても仕方がなく、自分たちの対応は「問題ない」「適正」だと考えているのです。
市町村や児童相談所など一つの機関だけでは、虐待家庭につき得られる情報はごく限られたものにならざるを得ません。警察との全件共有を拒否する東京都などの児童相談所では、多くのケースで、1回や2回家庭訪問して、傷がなければ虐待なし、親が否定すれば虐待なしとして「緊急性なし」「対応終了」、「警察に連絡せず」という対応をしています。東京都では警察に通報するのは約2割で、8割は児童相談所だけのわずかな情報だけに基づいて、「虐待なし、緊急性なし、対応終了」としています。東京都では、児童相談所がそう判断した案件で、下記のとおりその後凄惨な虐待事件が発生していますが、その折も「対応に問題はなかった」と発言しています。

ブログ197 またまた東京都で児童相談所が関与しながら防げなかった虐待による重体事案、その直前に東京都議会宛陳情書提出しました | Think Kids(シンクキッズ)こどもの虐待・性犯罪をなくす会

児童相談所、市町村だけで案件を抱え込み、警察に連絡もせず、家庭訪問もほとんどせず、家庭訪問しほとんど会えなくてもそのまま(足立区玲空斗ちゃん事件における足立児童相談所)、母親に面会拒否されてもそのまま(目黒区結愛ちゃん事件における品川児童相談所)放置しては虐待死に至らしめ、それでも「対応に問題はない」と言い続け、他機関との連携を拒み続けています。
警察と案件を共有すれば、警察がその家庭につき把握している情報を得ることができ、その後もパトロールや110番活動、各種事件対応等により警察がその家庭に対応した際の情報を警察から得ることができ、児童相談所はより多くの情報に基づいて虐待リスクをより正確に判断することができるのです。そのような取組を拒否し、自分たちで案件を抱え込みながら、「虐待を疑う情報はなかった」から子どもを虐待死させても「問題ない」「適正だ」と反省もしない姿勢では、救えるはずの子どもの命はいつまでも救うことができません。

最近では、全件共有を実施していない自治体を訪れ、知事さんや市長さんに直接お願いすると、ありがたいことに皆さん直ちにご理解いただき、全件共有と連携しての活動を進めていただくようになっております。
残念ながら、東京都など一部の児童相談所では、いまだ警察との全件共有を拒んでは防ぐことができたはずの重大な虐待事件を繰り返し引き起こしているところがありますが、こうした児童相談所には、先進的な自治体の取り組みをお知らせするなどして、粘り強く説得してまいる所存です。