ブログ9 児童相談所は加害親が虐待する原因が解消したと解されるまで子どもを引き渡すな

 本年(2014年)1月16日、生後間もない長男に二度の大けがを負わせたとして、会社員の父親が栃木県警察に逮捕されるという事件が発覚しました。報道によると、父親は、昨年1月に自宅アパートで生後1月の長男をソファーに投げつけ、頭がい骨骨折や脳挫傷など全治3ケ月の重傷を負わせ、9月にも同様に投げつけるなどし、硬膜下血腫など全治1カ月半の重傷を負わせた疑いとされています。昨年1月、乳児が入院し、病院から児童相談所に虐待の疑いありと通報し、児童相談所は一時保護しましたが、6月に退院する際、保護を解除してしまい、9月に再び重傷を負わされたとされています(2014年1月17日朝日新聞)。
 再三申し上げているとおり、児童相談所が子どもの安全に不安があるにもかかわらず、一時保護せず、あるいは一時保護を解除する事態は枚挙に暇がありません。栃木県では、2013年12月に父親が乳児を死に至らしめたとして逮捕起訴された事件でも市町村や児童相談所が虐待の疑いを把握していましたが殺害されることを防げませんでした。乳児に頭がい骨骨折を負わせるような親が数カ月で心を改めるということはありうるのか、虐待する親にも虐待する原因があるわけですが、その原因がわずか数カ月で解消するというような事情・根拠は認められたのか、まさか、口頭で「もうしません」という加害親の言葉を信じたわけではないと思いますが、親が通常起こしえないような虐待を加えたと認められる場合に、その原因が解消したと認められる確かな事情や根拠がない限り、加害親の元に子どもを返した場合には、子どもを死に至らしめる危険は明らかに認められるのであり、児童相談所のそのような対応は業務上過失致死傷罪にも問疑されうるものです。
 危険があっても親が求めれば返してしまう、親が反対すれば一時保護しないなどの児童相談所の子どもを見殺しにするような対応は、長年にわたり延々と多くの児童相談所で行われ続け、改善の兆しも一向にありません。児童相談所に自主的な取組の改善を期待することはできないことは明らかです。早急に、法律(あるいはこんな痛ましい事案が起きた都道府県では条例)を整備し、虐待親の意向に安易に応じず、児童相談所が一時保護しなければならない、あるいは一時保護を解除してはならない基準を明確に法律ないしは条例で定め、児童相談所に子どもの命を守る取組を徹底させる必要があります。考えられる規定案は、シンクキッズのHPで公表していますが、次の通りです。

http://www.thinkkids.jp/kaisei/revision

 何度も申し上げているとおり、児童相談所のこのような対応で子どもが死に至らしめられる、あるいは重篤な傷害を負わされるという事案を防ぐためには、法律ないしは条例で、児童相談所に必要な対応を義務付ける必要があると考えます。