ブログ19 多数の「置き去り」児童の実態及び東京都足立区事件から対策を直ちに

1 本日(2014年6月27日)の読売新聞で報じられているとおり、全国で置き去りにされている子どもの数は、3年間で483人とされています。厚生労働省の調査でも、毎年、棄児・置き去りされた子どもの数は200人前後です。
 同紙によると、さいたま市では、児童相談所職員が郵便受けからのぞいたところ、男児が裸で泣きじゃくっていたため、警察官らとともに窓ガラスを割って部屋に入り保護したが、餓死寸前であった事例などが報じられています。
 厚木市理玖ちゃん餓死事件もそうですが、置き去り・棄児が確認されているだけでも毎年200人も上り、発見されていない、ネグレクトであるが置き去りとは認定されていない、命に危険のある状況下にある子どもの数はもっと多数に上ります。
 この問題については、前々メールで述べたとおり、ネグレクトが疑われる家庭について、虐待情報を共有し、児童相談所と市町村と警察が人手を出し合って、できるだけ頻度を上げて訪問し、子どもの安否を確認し、親の養育態度を観察し、ネグレクトが解消する見込みが薄いと判断されれば、児童相談所の一時保護、改善される見込みがあれば、在宅で頻繁な家庭訪問による子どもの安否確認を行いながらの親への指導・支援を行うしかないわけです。それを全国どこでも、確実に行わせるためには、法律でこれらの機関に義務付けるしかありません。私が提案している法律案の条項は次のとおりです。再度ご確認ください。

 児童相談所、市町村、警察は、虐待家庭に関する情報を共有するとともに、虐待を受けながら在宅で親と暮らしている子どもについて、連携して危険度に応じて計画を立て、定期的に家庭を訪問し、子どもの安否を目視で確認するとともに、親から困りごと相談に応じるなど必要な子育て支援を行うものとする。

 また、さいたま市の事例のように、警察官が緊急に保護しなければならい事例がまた一つ明らかになりました。前々メールで提案した条項を再度掲載いたします。

 警察は、110番や児童相談所からの通報等により家庭や病院に急行し、虐待を受けているおそれのある子どもを発見し、そのまま放置すれば生命・身体に重大な危険があると認められる場合には、緊急に子どもを保護し、その身柄を速やかに児童相談所に預けるものとする。保護の継続・解除は児童相談所が判断するものとする。

 さらに、この問題では、棄児・置き去りをいかに早期に発見するかということが極めて重要です。同紙には、静岡県が新聞販売店、郵便局と連携し発見に努めていると報じられています。大変有効な取組と存じます。以前にはヤクルトレディがトイレから出れなくなった高齢者を発見・救助してくれた事例もありました。飲料や品物、クリーニングなどの宅配業者も含めて、子どもが置き去りにされている事案があればすぐに警察に通報する、という仕組みを全国で作っていくことが早急に必要です。

2 次に、同じく同紙では、東京都足立区で行方不明になっている4歳の男児が死んだとして両親が川口湖周辺に埋めたと供述している事件で、児童相談所は、警察から育児放棄として通告を受け、足立区も何度も家庭訪問しながら、児童相談所が最後に家庭訪問したのは昨年2月、その後7月と12月にも家庭訪問したが父親が玄関先などで対応し、子どもの姿を確認せず引き上げた、と報じられています。
 死因が判明していませんので何とも言えませんが、またまたこの三機関の連携のなさにより、子どもが死に至らしめられることを防げなかった事案ではないかと疑われる事件です。足立児童相談所は家庭訪問に5ケ月の間隔を空けているようですが、これで子どもの安否確認ができるのか。もっと頻繁に安否確認すべきでないのか、5ケ月も開けるのが通常なのか、会えなかった場合でも、さらにそこから5ケ月も空けるのか、一体どういう考え方で安否確認をしているのか、東京都の説明を求めます。これは人手不足という言い訳は通用しない事案ではないでしょうか。
 本事件も、上記で述べたとおり、児童相談所、足立区と警察とが、人手を出しあって、もっと頻繁に家庭訪問し、子どもの安否を確認する、そして、養育できそうになければ児童相談所が一時保護する、という制度であれば、子どもが死に至らしめられることがなかった事件の可能性があります(死因が判明していませんので断定的なことは言えませんが)。
 さらに、本件では、足立児童相談所が、父親に調査を拒否されながら、漫然と何の対策もとらず、警察にも連絡していないことが大きな問題です。虐待親は児童相談所の職員の調査を拒否することはよくあることですし、児童相談所の職員に暴力・暴言を振るうことも少なくないのです。このような場合は、児童相談所は案件を抱え込まず、警察に通報すべきでしょう。児童相談所の職員に対しては拒否しても、警察官には拒否できない親が多いのです。もちろん警察官には暴力は振るいません。
 そもそもこの問題は、虐待の調査や虐待親と対峙することに全く適性のない児童相談所職員にこれらの業務を行わせていることから生じる問題なのですが、せめて、前々メールで私が提案した次のような制度とする必要があります。

 児童相談所、市町村は、虐待家庭が転居して所在不明となった場合、虐待通告を受けた家庭の所在を把握できない場合、親に調査を拒まれた場合で子どもの生命・身体に重大な危険があると認められる場合には、直ちに警察に発見・保護を要請しなければならないこととする。

 さらに、この事件では、今年の3月には、両親はマネキン人形を購入し、児童相談所職員が訪れた際に、人形を寝かせて布団をかけて、子どもだと偽っていた可能性がある、都幹部は「立入り調査時の子どもの確認方法を見直したい」と話した、と報じられています。葛飾区愛羅ちゃん事件でも、臨場した警察官が親から「夫婦喧嘩だと」と言われ、40か所もあざがあった愛羅ちゃんの体を調べることなく帰ってしまい、その5日後に愛羅ちゃんは殺害されてしまいました。児童相談所、警察とも、虐待されている疑いのある子どもの安否確認については、目視する、衣服の下も調べる、という方針で行わなければなりません。そして、親がそれを拒否した場合には、一時保護することができるということも法律で明示することが必要と考えます。