ブログ227 大阪市長、大阪府知事、堺市長あてに要望書提出し、児童相談所と警察とでリアルタイムで最新の情報を共有するシステムの整備を要望しました

1 本年10月7日、大阪市平野区で1歳の結翔ちゃんが母親の交際男から虐待死させられたとして、26歳の交際男が10月23日に傷害致死罪で逮捕されました。
 報道等によりますと、8月23日に自宅で結翔ちゃんにミルクがかかりやけどをして入院、病院から通報を受けた児童相談所が2度家庭訪問したが、「虐待ではない」として警察に連絡せず、交際男には電話で連絡しただけで面接はしなかった、児童相談所は「当時の対応は適切だった」としています(2024年10月9日朝日新聞)。警察には9月末に警察の取り扱い歴がないかどうかの問い合わせはしていたとされています。その後、11月13日には、8月23日に熱湯を浴びせやけどを負わせたとして、警察が交際男を傷害罪で逮捕、地検が傷害致死容疑については処分保留処分としたと報じられています。

2 事実関係はいまだ明らかではありませんが本家庭は、シングルマザー家庭に交際男という、これまでも、箕面市歩夢ちゃん虐待死事件、摂津市桜利斗ちゃん熱湯をかけられての殺人事件など多くの虐待死事件が発生している家庭ですので、児童相談所が、警察に連絡せず、単独で「虐待でない」と判断し、交際男と会うこともなく、早期に対応を打ち切ったことは、結果的にみて、「適切だった」とはとても評価できるものではありません。
 しかも、大阪市の児童相談所は、大阪府警と全件共有の上、連携して活動する態勢を整備しているはずですが、幼児がかなり深刻なやけどを負い、病院から虐待通告を受けながら、警察に直ちに通報していません。その後1ケ月以上経ってから警察へ警察の取り扱い歴を問い合わせたというのですが、なぜ直ちに警察に通報しないのでしょうか。虐待が急激に激化することは珍しいことではなく、児童を守るためには、通告を受ければ放置することなく、できる限り早く警察と案件を共有し、家庭訪問その他の措置を取る必要があることは言うまでもありません。本件で、8月のやけどの時点で警察に直ちに通報していれば、警察の捜査により犯罪と判明した可能性もあったでしょうし、そうでなくとも警察が捜査したことで虐待の抑止力にかなりなったことは確実で、結翔ちゃんが命を落とすことはなかった可能性はかなり高かったと考えられます。
 このような事態を防ぐためには、児童相談所が虐待の通告を受けた時点で、警察への通報が遅れることのないよう、リアルタイムで最新の情報を共有し、連携して対応することができるシステムの整備が必要です。このような情報共有システムは、既に埼玉県、千葉県、兵庫県、奈良県、岩手県ほかで整備され、本年度から来年度にかけ、神奈川県、横浜市、川崎市、愛知県、東京都等で整備される予定です。令和5年度補正予算で、こども家庭庁において自治体への補助予算が措置され、益々多くの自治体で整備が進められ、大府県ではほとんど整備され、あるいは整備予定とされています。
 そこで、大阪市長及び大阪府公安委員会委員長あてに、情報共有システムの整備を柱とする下記の要望書を提出し、あわせて、大阪府知事、堺市長にも同様の要望書を提出いたしました。

「大阪市平野区結翔ちゃん虐待死事件を貴重な教訓として、縦割りを排し、児童相談所と警察
とでリアルタイムで最新の情報を共有するシステムの整備、連携マニュアルの作成等によ
り、連携してベストの力で子どもを虐待から守る態勢の整備を求める要望書」

 ぜひ、大阪市、大阪府、堺市の児童相談所と大阪府下の警察署の間だ、来年度にも上記の情報共有システムを整備し、救えるはずの子どもの命が救えないような虐待死事件の絶無を期していただきたくお願いする次第です。